八音才子黃文擇大師逝去

台湾の布袋劇は、代表的な霹靂シリーズにハマった脚本家の虚淵玄氏が企画した『東離劍遊紀』が制作されるなどして日本でも人気が高い文化です。

布袋劇は元々は中国から移民が伝えたものでした。しかし、戦後に台湾で急激に進化をとげ、今では台湾独自の文化となっています。

初期の布袋劇はごく簡単なパペットで西遊記や三国志などを演じていたようです。その舞台も夜市や廟会に設えられるごく小さなものでした。

その布袋劇にドラスティックな変革を与えたのが霹靂布袋劇です。

霹靂布袋劇は素還真というキャラクターを主役に据えたオリジナルの武侠劇で、はじめはオリジナルビデオ作品として作られ、後にテレビ布袋劇として放送されるようになります。

その特徴は激しいアクションとSFXも駆使した特撮ばりの演出。現在ではCGも駆使されます。人形も少しずつ大型化し、複雑な動きができるようになって、アクションだけでなく緻密な演技までできるようになっていきました。

また、キャラクターの顔も少しずつ整えられ、それに伴い女性からも支持されるようになりました。

本家霹靂シリーズでは『東離劍遊紀』を上回る過激で派手なアクションが見られます。

そうして次々と布袋劇の伝統を打ち破ってきた霹靂シリーズですが、古来よりの伝統を守っていることがありました。それが、キャラクターが登場する時、必ずそのキャラクターを詩で表した「四念白」が念じられること、そしてもう一つが一人の口白師傅(口上師)が女性も含む全てのキャラクターの声を担当することでした。

霹靂シリーズを代表する口白師傅が黃文擇大師です。黃文擇大師は霹靂シリーズの初期から口白師傅を務め、その多才な声と演技の使い分けから「八音才子」と呼ばれました。黃文擇大師がいたからこそ、霹靂シリーズの人気が確固たるものになったと言っても決して過言ではありません。

その黃文擇大師が、昨日6月12日に逝去されました。享年66歳。

黃大師は今年公開された劇場版布袋劇『素還真』でも素還真を演じておられ、まだまだご活躍が期待されただけに早すぎる逝去が残念でなりません。

これまでの偉大な功績に敬意を示し、心よりご冥福をお祈り申し上げます。