端午節

今日は農暦5月5日の端午節です。

端午節の起源は俗説では楚の屈原に求められますが、実際には屈原が生きた戦国時代よりも古く、中国南方の龍(もしくは蛟?)をトーテムとする越人の文化だったというのが定説になっています。越人ってのは百越とも言われるように中国南方に住んでいた様々な部族の総称で、かつては異民族扱いでした。そのうちの一部の部族が春秋時代のころに越の国を興し、隣接する呉に粘着プレイをするようになったあたりから認知されるようになりました。時代が下るにつれて拡張する「中国」帝国に飲み込まれることでいつしか中国人の一部ということになっています。

日本で言えば、九州の熊襲や隼人が大和朝廷の侵略に飲み込まれて日本人の一部になっていったようなものです。

伝統的な端午節では、越人が行っていた文化を引き継いで粽子を食べたりドラゴンボートレースをするとともに、この時期に増える邪気を払うためによもぎや菖蒲など香りが強い植物を門前に掲げたりしました。

もともとはフジバカマを浸した水なりお湯なりで沐浴をしていたのが、いつしかフジバカマが菖蒲にとってかわり、菖蒲のお湯で沐浴するようになりました。それが日本に伝わったのが菖蒲湯です。

また、一部地方の農民に青・赤・黄・白・黒の五色には辟邪の力があるという信仰もあって、端午節には五色が入り交ざった紐や縄をかけたりもしたようです。日本の鯉のぼりに使われる吹き流しはこの影響かとも思いましたが、あれはまた別口のようです。

日本では菖蒲に尚武をかけたダジャレで男の子の節句となりましたが、現在では自称フェミニストのただのクレーマーが発狂するのでそれもあまり言わなくなりましたね。

でもまあ起源的に考えればダジャレのこじつけとはまったく関係ない日なので、別に男の子の節句でなくてもいいでしょう。

そもそも旧暦の行事を新暦で行ってなにも疑問を持たない時点で有名無実ですわ。季節感がないことこの上ないけれど、日本人にとっては年中行事のルーチンワークをこなすことこと大事で、それが本来行うべき季節からずれていても気にしないんでしょう。そのくせ日本人は四季の変化を大切にするとか言い出すから笑えます。

さてさて、日本人が本当は季節の変化と行事の関係などまったく大切にしていないことはさておき、端午節は中国周辺のベトナム、韓国などの国々にも伝わっています。台湾にもまた中国人移民により端午節が伝えられました。

台湾で端午節といえば、なにをさしおいてもまず粽子です。国土が狭い台湾ですが、しかし粽子は北部粽、南部粽、客家粽など非常に多くのバリエーションがあります。

以前台北の広州街夜市には、10種類ぐらいの粽子を売る日本語世代のおばあさんがいらっしゃったのだけれど、数年前からお見かけしなくなってしまいました。

台湾の北部粽と南部粽の違いは、包む葉っぱや具の入れ方など様々にあります。中でも最も異なるのは、北部粽は葉っぱで包んでから蒸す、南部粽は葉っぱで包んでから煮るという調理法です。

ピーナッツ粉とみたらし団子のたれのようなあまからソースをかけて食べるというのも南部粽の特徴の一つ。


こちらは台北で食べた南部粽です。台北にも南部粽の店があって人気です。

台湾にはそれら中国からの移民がもたらした粽子の他に、卑南族の阿拜、パイワン族の吉那富など原住民独自の粽子に似た食べ物があります。

今年は業務スーパーで買った冷凍粽を食べました。原産国が中国なのが不満ではありますが、そこはそれ妥協しなくてはいけないときもあります。

でもこれ業務スーパーを運営する神戸物産が日本人向けに作らせたものらしく、味は中国のものとも台湾のものとも違ってあんまりうまくはありません。はやく本物の台湾粽子が食べられるようになってほしいものです。