李明哲氏が台湾に帰国

2017年に中国で不当に逮捕され、服役を強いられていた台湾人の李明哲さんが本日5月10日、5年間の刑期を終えて台湾に帰国しました。

李明哲さんは台湾生まれの外省人2世。元は統一派の新党に参加していたところ、大学で自由思想の啓発を受けて民進党の職員となり、後にアメリカでの台湾独立運動を率いていた黄文雄氏(日本で作家活動をしている黄文雄氏とは別人)が設立したNGO組織・人権公約施行監督連盟に参加して主に中国の人権改善、民主化を訴える活動をしていました。

2017、李さんは中国を訪れた折に逮捕され「転覆国家政権罪」なる罪状で5年の罪を被せられて中国の刑務所で服役していました。

その間台湾では政府や自由力量などの本土派政党、人権団体などが手を尽くして李さんの放免を求めたものの叶わず、李さんの解放は5年の刑期満了を待たねばなりませんでした。

厦門経由で台湾に帰国した李さんは記者会見を開き「私の祖国、私の故郷の台湾はこの5年間夢のように私の心の中にあった」と述べ、台湾が自由民主の国で、台湾に残してきた奥さんや見ず知らずの台湾の国民たちを心に思う価値があると深く信じることが異郷にあって重要な力になったとして、自分の救出のために力を尽くした人たちへ感謝を示しました。

李さんは外省人2世ではあるものの、台湾を祖国と呼び、中国を異郷と呼びます。

日本にはいまだに小林よしのりが『台湾論』で描いた「外省人=統一派、本省人=独立派」という頭の悪い単純な図式があると信じているアホがいるけれど、現実の台湾はそんな単純ではなく、台湾にアイデンティティを持ち、台湾を主体とする本土派の外省人も大勢います。

李さんが刑期を終えて台湾へ帰国できたのは幸いではありました。しかし、そもそも李さんは中国の民主化活動を行っていただけ。それを逮捕して5年もの刑期を課したのは不当な弾圧でしかなく、許されるものではありません。

先般中国政府は中国には中国の民主があるなどという主張をして全世界の民主国家から嘲笑を浴びたものですが、民主運動家に罪をかぶせる時点で自ら民主国家ではないと言っているに等しいわけです。

Youtubeなどでは自由を享受している風の中国人の動画も散見されます。でもそれはあくまで表面的なことで、一部の都市住民にある程度の自由な経済活動が許されているに過ぎず、国を批判する自由も民主的な手続きで政権を交代させる権利も許されてはいないのです。その都市住民にしても簡単に自由を制限されてしまうことが、上海のロックダウンでよくわかりました。

自由を制限するのが中国という国の本質だと、もっと切実に理解すべきでしょう。