今日は「尾牙」

本日は農暦の12月16日。台湾では「尾牙」の日です。

尾牙は台湾の民間信仰と密接な関係があります。

台湾の民間信仰は、中国からの移民が持ち込んだ道教と仏教が習合したもの。そのため寺と名がつく龍山寺にも、媽祖や関聖帝君等道教諸神が祀られているし、道教の神が主祭神の廟にも、道教の中に取り入れられた観世音菩薩や地蔵王菩薩が祀られます。日本でも有名な迪化街の台北霞海城隍廟では達磨大師まで神様として祀られているけれど、これに気づいた日本人はあまり多くはないはずです。

古来中国では毎月の1日と15日に神を拝してお祭りを行う風習がありました。これは毎月の新月と満月に合わせて行われたとか、交易を行う商人が1日と15日に特定の場所に集まってマーケットを作り、その土地の神へ敬意を示したためだとかいくつかの由来が伝えられています。

このような1日と15日の礼拝は日本にも台湾にも伝えられています。

京都などでは現在でも1日と15日に家の神棚を拝する習慣が残っているとも聞きますが、どうも新暦の1日と15日に行うとかで、由来を月齢にとるならばただ形骸化したルーチンワークに堕していると言えます。日本で伝統がーとか言ってる連中はなぜか最も重要な伝統的な日付には無頓着で、新暦の日付で行って気にしていないので、実際には伝統が大切なのではなくただ年中行事のルーチンワークをこなさなければ死んでしまう病気というだけなのでしょう。

1日と15日に拜拜をする風習の他に、毎月の2日と16日に土地公を拜拜する風習があります。これも、1日と15日は家の神様を拜拜し、その翌日の2日と16日は外の土地公廟を拜拜するためだとか、毎月の1日は商売が休みなので、2日に拜拜するようになったためだ等いくつかの由来があります。

この毎月の土地公への拜拜を做牙、牙祭と言い、祭壇に鶏肉、豚肉、魚などを供えます。

その年の最後の做牙が尾牙です。

台湾では、尾牙に合わせて忘年会を行う会社が多く、そのため尾牙は忘年会という意味でも使われるようになっています。

台湾の忘年会では刈包が振る舞われるのが定番です。刈包は日本では「台湾バーガー」とか適当な呼び方をされている小吃の一種で、半月状のマントウに控肉、酸菜、ピーナッツ粉、香菜などを挟んだもの。長崎に角煮まんという刈包に似たものがあるけど、あれは角煮だけ挟んであって味気なく、台湾の刈包の豊かな味わいとは比べ物になりません。

台湾の忘年会で刈包が振る舞われるのは、形が財布に似ているので金運がよくなるようにというどうしようもなく俗っぽいものと、豚肉を挟んでいるのを虎が豚に噛み付いているのに見立てて、今年の悪運が虎にかまれて消え去るようにという、財布に見立てるよりは多少ましな由来があります。

現代台湾ではすたれた忘年会の習慣に、社員のクビ宣告がありました。一昔まえの台湾では、宴席で鶏の丸焼きが供されその鶏のくちばしが向けられた社員はクビを宣告されたという意味がありました。

しかし現代ではそんなことはなく、鶏の料理も頭を切り落とした状態で供されているようです。