三年に一度の「東港迎王祭」始まる

昨日10月24日、台湾南部屏東県の東港東隆宮において三年に一度行われる東港迎王祭が始まりました。

東港東隆宮は康熙45年=西暦1706年創建と伝えられる台湾でも非常に古い道教廟。台北で最も古いと言われる龍山寺が1738年創建ですから、南部の歴史の古さがうかがわれます。

東港東隆宮の主祭神は温府千歳。台湾には中国からの移民がもたらした信仰が数系統あり、その中の王爺千歳信仰に属する神様です。

王爺千歳とは、天帝より地上の警備をせよという勅命を受け、悪霊や瘟神(瘟疫をもたらす疫病神)を成敗する役割を持った神々のことです。王爺千歳神が天帝に代わって地上の警備を行うことを「代天巡狩」と言います。

日本の統治によって衛生環境が改善されるまでは「瘴癘の地」と呼ばれた台湾では、特に疫病を鎮める願いを込めた王爺千歳信仰が盛んであり、場合によっては本来中国では代天巡狩の職能がなかった神も、台湾に伝わったのちには代天巡狩の要素が加えられることもあります。

王爺千歳の特徴として、元になった人物の姓+府千歳、もしくは姓+府王爺という神名が付きます。府は代天府、つまり代天巡狩を行う拠点という意味です。

温府千歳は、一般的には地府の長官である東嶽大帝配下の温瓊とされることが多いですが、東港東隆宮の温府千歳は、唐太宗に使えた温鴻という人物が死後に王爺神になったものとされています。

東港迎王では、まず五府千歳から一柱をお迎えしたあと「繞境」が行われます。これは神様をお神輿に乗せて街を練り歩くことで、王爺千歳信仰においては王爺神による巡察を意味します。

繞境自体は王爺神以外の神様のお祭りでも行われることです。

東港迎王のクライマックスは、巨大な王爺船に火をつけてる「焼王船」です。

王爺千歳信仰は、もともとは瘟神信仰から始まったと考えられています。

疫病をもたらす瘟神を祭り上げ、船に乗せて流してしまうことで疫病を遠ざけるものでした。

それが、瘟神を成敗する王爺神への信仰へ変化したものの、船を燃やしたり流したりする儀式はそのまま残り、王爺神が街を巡察した後にその神像を乗せた王爺船を燃やして、お迎えした神様を天に送り返すというものになりました。

こうした儀式はかつては台湾中部から南部にかけて海沿いの各地で行われていましたが、現在その儀式を行うのは東港東隆宮含めわずかで、その中でも東港東隆宮のお祭りは最大のものとなります。