日本の経済産業省にあたる台湾の経済部は、昨日9月22日CPTPP(環太平洋パートナーシップに関する包括的及び先進的な協定)への加入申請をすでに行ったと発表しました。
CPTPPはTPP(環太平洋パートナーシップ協定)を前身とし、アメリカがTPPから脱退した後に残った国々で構成された貿易協定です。日本ではTPPと報じられているけれど台湾では正しくCPTPPと報じられています。
これに先立つ9月16日、中国もCPTPPへの加入を申請しています。
中国の加入申請については、日本ではアメリカへの対抗策であるとの見方が大勢を占めています。もちろん米中対立が深まる中そうした理由があることも間違いないでしょう。
しかし、もう一つの意図としてCPTPPへの台湾の加入を阻止し、中国への依存度を高めようということもあると思われます。
台湾は馬英九政権時に経済面での中国への依存度を高めました。武漢肺炎のパンデミックにより台湾企業の中国からの引き上げが加速して、その依存度はある程度は緩和されているものの、貿易面での依存度は依然高いです。
2021年春先の台湾パイナップル輸入停止による台湾農家への打撃などはそのわかりやすい例です。今月に入ってから中国はさらに台湾産の蓮霧と釈迦頭の輸入を停止しました。
こうして圧力をかければ、台湾人は現政権への不満を高め、中国との宥和政策を打ち出す政権を選ぶに違いないという、浅墓な目論見が透けて見えます。
こうした中国への依存を打破するためにCPTPPへの加盟は台湾にとって非常に有効な一手です。
もし中国のCPTPPへの加盟が認められてしまえば、確実に台湾を排除する方向に動くでしょう。そうなれば台湾は中国依存を維持せざるを得なくなります。
台湾の加入申請は中国に対応するためににわかに行われたものではありません。すでに加入のための検討は台湾政府内で行われており、申請に先立ち国内法の整備が進められていました。とはいえ、中国の加入申請を受けて、申請スケジュールを早めたことは確かではないかと思います。
CPTPPは日本が議長国ですから、中国を引き入れた場合どんなリスクがあるかをしっかり見極め、台湾の加入を認めてほしいものです。