新デザインの台湾パスポート発行開始

日本には、中国の「台湾が中国から分離独立し中華民族の分断するのを許さない」というプロパガンダを真に受けて、「台湾の中国からの独立を支持する」などと宣うバカな連中が一定層います。

しかし、これは台湾を支持しているように見えて、台湾が中国に属しているという中国側の主張を補強する行為でしかありません。

台湾は1秒たりとも中華人民共和国に属したことはないので、そもそも中国から独立する必要はないのです。

では「台湾独立」とは何を指すのかといえば、台湾を占領支配する中華民国から台湾国として独立することを意味します。




政権打倒運動から正名運動へ

蒋氏政権時代、台湾独立運動は中華民国即ち国民党政権を打倒することでした。

ところが、李登輝総統の誕生によって様相が変わります。

国民党内部から台湾人総統が誕生したことで、台湾は台湾人の手に戻りました。

李登輝総統は、政権内部からの台湾の変革を目指します。

学校では中国史ではなく台湾史が教えられるようになり、原住民の地位が認められ、それまで禁じられていた台湾の各エスニックグループの独自言語も堂々と使えるようになりました。

とはいえ、台湾国内にはまだ中国から流入した統一派も存在し、台湾の国民にも明確に独立を宣言したら中国からミサイルが降ってくるのではないかという恐怖を抱いています。

そういう状況で、李登輝総統は性急に中華民国から台湾国として独立するのではなく、台湾に住む全ての人が台湾人なのだという「新台湾人」論を打ち出してまず国内融和をはかりました。

そして2000年に陳水扁総統による民進党政権が誕生し、台湾史上初めての民主的な政権交代を果たして国際社会に台湾が中国とは異なる民主国家であることを示しました。

その頃日本で生まれたのが、日本在住の林建良医師が提唱した「台湾正名運動」です。

これはもともと、日本政府が在日台湾人の国籍記載を中国としていたことに抗議したもので、その活動が実を結び、現在では台湾人の国籍記載は台湾へと改められています。

この正名運動は、台湾国内にある「中国」と名が付くものを「台湾」へと改めようという形に変化して台湾に輸入され、政界を退きつつも台湾独立派の思想的・精神的支柱であった李登輝先生の支持を得て大きく広がりました。

武漢肺炎をきっかけにパスポートのデザインを変更

台湾における正名運動の中で、パスポートも中華民国から台湾へと改めようという「正名」も訴えられました。

民間では「台湾共和国」と書かれたパスポートカバーも販売されています。

しかし、実際のパスポートの正名は遅々として進んでいませんでした。

その流れが大きく変わったのが昨年。

中国を起点とする武漢肺炎のパンデミックにより世界中で反中感情が高まる中、中華民国のパスポートを持った台湾人が中国人と混同されるケースが報告されるようになったのです。

そうした状況に後押しされ、台湾政府は昨年9月に「中華民国」より「TAIWAN」の字が大きく目立つようになった新しいパスポートのデザインを発表。昨1月11日から、予定通り新デザインのパスポートの発行が開始されました。

折しも昨年1月11日は総統選挙で蔡英文総統の再戦が確定した日でもあります。

蔡英文総統はFacebookで新パスポートの発行を報告するとともに、この1年間での政権運営の成果をアピールしました。

今天是 #新版護照…

蔡英文 Tsai Ing-wenさんの投稿 2021年1月11日月曜日

台湾独立派の中には総統は中華民国体制を維持させるだけで台湾を独立させる気がないと批判する者もいます。

しかし、蔡総統になってからの台湾は、着実に良い方向へと変化していっています。

社会を安定させたまま変革していくには、ドラスティックなやり方ではなく、蔡総統の変えられるところから一歩ずつ着実に変えていくやり方のほうが有効でしょう。

何より、蔡総統は李登輝先生と史明先生という2人の巨人の薫陶を受けた人物です。台湾が進むべき道筋ははっきり頭の中に描かれているはずです。

性急な変革を求めて蔡総統を批判するのは利敵行為だと自覚すべきですね。