台北で臺灣同志遊行開催

10月29日、台湾は新型コロナウイルスの国内新規感染者ゼロの継続日数が200日となりました。

いまだに新規感染者の増加を抑えられていない日本とは対照的です。

日本では、台湾の武漢肺炎封じ込めについていまだに唐鳳(オードリー・タン)氏のIT技術についてばかり注目しています。

確かに唐鳳氏によるマスクの在庫把握・管理システムは画期的で、政府はそれをもとにマスクを買い上げ、全国民に定期的に行き渡らせることが可能になりました。

しかし、本当に注目されるべきなのは蔡英文総統の判断力の速さ、適切な人材配置、果断な防疫関連立法と予算の成立です。

そして、その下で現場指揮官の「鋼鉄部長」陳時中氏が、医学の専門知識をもとに微に入り細を穿つ対策を行いました。

そうした総合的な部分に目を向けず、唐鳳氏の「IQ180」という目をひく部分を取り上げるしか脳がないのが大方の日本人です。

台湾はアジアで最も多様性への理解がある国

台湾は、世界一かどうかまではわからないけれど、間違いなくアジアでは最も多様性への理解がある国です。

ただ、それは昔からそうだったわけではありません。

日本時代、台湾総督府は同化政策を推し進めました。

台湾語や原住民の各言語の使用を制限し、時代によっては禁じ、改姓名運動を行いました。それは、韓国人が騒ぎ立てるような強制的なものではなかったものの、日本語を使う「国語家庭」、日本人風に名を改めた人を優遇し、原住民も含む台湾人のアイデンティティを認めようとはしませんでした。

戦後の蒋介石による台湾占領はそれを上回っていました。

中国語を強制し、原住民の名前も中国風に改させました。

228事件や白色テロで台湾人を弾圧し、自分たちとは異なる意見を持つことを許しませんでした。

台湾総督府と蒋氏政権、2つの強権的な支配者の前に台湾では多様性が制限されていました。

それが変わっていったのはやはり李登輝先生による民主化以降です。

すでに共通言語になってしまっていた中国語の使用は続けられたものの、各エスニックグループの母語の使用は認められ、原住民の権利も拡大されました。

李登輝先生が行ったのは、それぞれのアイデンティティは認め尊重しつつ、しかし台湾に住む台湾人として団結しようという認識の推進でした。

陳水扁総統時代になると、学校でも台湾語など各言語の授業が行われるようにまります。

台湾人は民主化以降少しずつ、多民族国家の中でそれぞれを認め合う多様性への理解度を高めていきました。

その流れは馬英九政権ですら止めることはできませんでした。

そして台湾は、台湾史上で初めての女性の国家元首を自ら選ぶことになります。

蔡英文総統のもと、台湾はさらに多様性への理解を深めていきました。

2019年に同性婚が合法化

蔡英文総統が初めての当選を果たした2016年以降、台湾では同性婚の合法化を求める声が高まりました。

といってもそれはにわかに起こったものではなく、陳水扁政権ぐらいから20年近くかけてほそぼそと行われてきた運動でした。

文化的な多様性への理解が深まっていった台湾でも、同性愛やトランスジェンダーなど性的マイノリティーと言われる人たちへの理解が高かったわけではありません。

台湾も日本同様儒教的な硬直した旧弊な家族観を持つ層に加えて、キリスト教的な硬直した旧弊な同性愛否定観を持つ層も多かったのです。

社会の多様性を推し進めた李登輝先生ですら、キリスト教の観点から同性婚には否定的でした。

ただ、そういう空気も時代とともに変わっていきます。

台湾の若い世代は、日本の他人には無関心なくせに他人の権利には否定的な若年層とは正反対で、自分の権利と同様他者の権利も重んじる人が多くなっています。

LGBTQに対しても、日本人のような偏狭な差別意識を持つ人は少なくなり、例え自分がLGBTQでなくても認める寛容性を持つ層が増えていきました。

2017年、台湾の司法院は同性婚を認めない現行民法は違憲だという判断を下します。

そしてそれを受け、2018年に同性婚を認める民法改正を問う公民投票が行われたものの、反対多数で否決となりました。

若い世代に同性婚を認める人が増えても、それ以上の世代はまだ古い家族観にとらわれた人が多かったということです。

蔡英文政権がすごかったのは、そこでその結果を口実に同性婚の合法化を放棄しなかったということです。

公民投票の結果を尊重し民法の改正は見送られはしました。しかし、それとは別に同性婚を認める特別法案が成立し、2019年に施行。

台湾はアジアの国々の中で初めて同性婚を合法化した国家となりました。

臺灣同志遊行台湾LGBTQプライド開催

昨日、台湾の多様性への理解の高さを示すニュースがありました。

台湾の陸海空軍では、それぞれ年に1回軍人の合同結婚式を行っています。

昨日行われた陸軍の合同結婚式には、陸軍女性将校とそのパートナーである民間人女性のカップルが参加しています。

そして本日10月31日、台北では第18回目となる臺灣同志遊行=台湾LGBTQプライドが開催されました。

今回のテーマは「成人之美」。この”成人”は、成年者ということではなく人を成すという意味。

性的志向の多様性社会の中で、正しい理解と尊重を得られ、人として美しくあることを訴えるという含意があるとのこと。

参加者は新聞発表では13万人。

このパレードには、与党民進党や、かねてより同性婚合法化を支援していた時代力量の立法委員、無所属の林昶佐立法委員なども参加しています。

台湾が武漢肺炎を完璧に抑え込んでいるからこそ実現できた非常に価値があるLGBTQパレードだったと言えます。