中華航空とパスポートの「正名」法案が立法院を通過

本日7月22日、日本の国会にあたる台湾の立法院を、中華航空の正名案とパスポートの正名案が通過しました。

これは台湾の「正名」が一歩前身した非常に大きいニュースです。

「台湾正名運動」は、日本在住の台湾人医師・林建良氏が提唱したものです。

かつて日本では、日本在住台湾人の国籍記載が中国とされていました。それを、台湾にしてほしいというのがもとものと台湾正名運動です。

日本で行われた台湾正名運動は、林建良氏に賛同する台湾人や日本人からの多数の署名が集まり、数年の努力のうちに政府に届いて、現在台湾人の国籍記載は台湾になっています。

この台湾正名運動は、台湾の独立運動家、本土派議員、さらには李登輝元総統の耳にも届き、台湾そのものも中華民国から台湾へと「正名」すべきではないかという動きが出ました。

その流れの中で、台北を中心に行われたのが、2002年の台湾正名デモです。

これには私も日本から参加しました。

台湾正名運動は一時期台湾でもブームを呼び、当時の陳水扁政権でもいくつかの正名が試みられました。

しかし、馬英九政権になってから正名運動は一時下火になります。

ただ、民間では様々なものを正名すべきだとする声は上がっていました。その中の一つがパスポートです。

現在台湾人が持つパスポートは中華民国Republic of Chinaと記載されています。台湾ではそれが台湾TAIWANとなるようなパスポートカバーも販売されました。

ただ、政府が積極的にパスポートを正名するという動きはこれまで見られませんでした。

今回、この中華航空とパスポートの正名に関する2案を提出したのは、与党民進党です。

そのきっかけとして、やはり新型コロナウイルス感染症、武漢肺炎の流行がありました。

武漢肺炎が中国で発生した疫病であることは誰でも知っています。

そのため、世界中で中国人に対する嫌悪感が生まれました。

日本人にすら、台湾人と中国人の区別がつかない連中がいます。ましてや欧米では、中国人と台湾人が混同されるどころか、日本人まで区別がつけられい場合もあり、東洋人というだけでヘイトの対象になっているところすらあります。

外国に行ったときに中国人と混同されたくない。台湾人にこういう心理が生まれたのも当然のことです。Chinaと記載されたパスポートをTAIWANに正名したいというのは、中華民国体制を脱して台湾国として独立したいという前向きな思いからではなく、中国人と混同されて差別されるのはいやだという切実な思いのようが強いように思われます。

政府側にも、台湾人が外国で中国人と間違われ、無用なトラブルに巻き込まれるのを防ぎたいという思いがあったようです。

一方中華航空は、1959年の設立以来台湾のフラッグキャリアでした。

確かにこれまでも、中華航空の名称を正名すべきだと主張する本土派議員などはいました。しかし、国が積極的に正名しよういう動きはありませんでした。

その流れが大きく変わった出来事があります。

台湾政府は欧州に向けてマスクや医療物資などを大量に寄付しています。それを運んだのが、胴体にChina Airlinesと大きく書かれた中華航空の飛行機でした。

そのせいで、物資の寄付は中国からのものだという勘違いが生まれてしまいました。これは台湾では大きく報じられました。

せっかくの台湾からの物資が「China Airlines」が運んだせいで中国のものだと思われてしまった。もうそんなことが起こらないように中華航空China Airlinesを正名すべきだという流れができたのです。

2法案の立法院通過は、1月の選挙で民進党が過半数議席を維持したことも後押ししています。

今後台湾では、中華航空とパスポートの正名が進められていくことになります。