武漢肺炎を引き起こすチャイナウイルスが全世界で猛威を振るう中、各国では新型コロナウイルスに対するワクチン、治療薬などの研究が急速に行われています。
台湾では、国立アカデミー・中央研究院を中心に専門の研究チームが組織され、中国を始め世界各国の感染地域から台湾に帰国した感染者より、22種類の新型コロナウイルス分離に成功しています。
また、4月9日には、新型コロナウイルスに対する抗体25株が発見されたことが報じられました。
さらに、4月11には自由時報が、中央研究院の梁博煌氏が率いる研究チームが、新型コロナウイルスのメインプロテアーゼを抑制する成分を発見したと報じています。
このニュースの日本語版は、台湾の外交部が運営しているTaiwan Todayが公開しています。
中研院が新型コロナウイルスの複製抑えるカギを発見、効果は従来の10倍以上か
プロテアーゼとは、蛋白質を分解する酵素のことです。
新型コロナウイルスの騒ぎの中では、ウイルスが細菌と混同されているのをよく見かけます。
しかし、ウイルスと細菌はまったく違うものです。
もっとも大きな違いは、細菌は生物のドメインの一つを占める存在であるが、ウイルスはそもそも生物かどうかすら確定していないということです。
生物学の中では、ウイルスは生物ではないという意見が大多数を占めるものの、パンドラウイルスの発見によりウイルスがドメインの一つとなる可能性もまだ残っています。
ウイルスが生物ではないという根拠は、細胞膜を持たず、自己増殖もできないからです。
細菌は好適な環境であれば自分たちだけで勝手に増殖していきますが、ウイルスはウイルスだけで増殖することができません。
ウイルスが増殖するためには、生物の細胞の中に侵入し、宿主の細胞の機能を利用しなければいけません。
ウイルスは、生物の細胞に侵入すると、細胞に自身が増殖するのに必要な部品を作らせます。
このときウイルスは、プロテアーゼを利用して蛋白質を部品に作るのに都合のいいように分解します。
逆に言えば、ウイルスが利用するプロテアーゼの働きを阻害できれば、ウイルスは増殖することができなくなり、宿主から別の個体に感染することもできなくなります。
このプロテアーゼを阻害する薬は、例えばHIVの治療などに活用されています。
今回見つかったのは、新型コロナウイルスが主に利用するプロテアーゼの働きを抑制する成分です。
これが見つかったからといって即薬になるわけではありませんが、これまでは既存薬を利用した対症療法しかできなかった武漢肺炎を、直接的に治療できる薬が開発される端緒となることは大いに期待できるでしょう。
これが実用化されれば、台湾は世界の救世主となり、誰も侮ることがなくなるはずです。