台北最古の古刹龍山寺が3月より参拝客の焼香を禁止

台湾には非常に多くの寺院、廟があります。参拝時には線香を掲げ、神仏を拝してから香炉に挿すというのが伝統的なやり方でした。

台湾の線香は日本の線香とは異なり、竹ひごに燃料が塗りつけてあって長いです。それが何十本も香炉に挿され、煙がもうもうと立ち込める様は、台湾人の敬虔な信仰深さを表す象徴でもありました。

古い道教の廟へ行けば線香から出たタールが梁などに染み付いて、それが信仰の強さの目安となり、そういう廟ほど神威が強いという考え方もあります。

しかし近年、特に人口が多い台北では線香から出る煙が大気汚染の原因の一つであるとして問題になっています。

その問題にいち早く対応したのが、日本人にも有名な行天宮でした。

行天宮では大切なのは線香を捧げることではなく神様を信仰する心だとして2014年に香炉を撤去、それまで行われていた線香の配布も取りやめました。

線香への対応では、廃止ではなく香炉の改善を行った廟もあります。

台北市郊外の關渡宮は、線香の煙を吸い込むいわば「無煙香炉」を導入しました。

ただ、こうした例は少なくて、参拝客が多い大きな廟では主に香炉を減らすなどの対策がとられています。

萬華の名刹・龍山寺には、もとは7つの香炉がありました。

これは龍山寺後殿の2001年の様子です。

当時龍山寺には常にこうして煙がたちこめていたものでした。

それが後に、正殿前の主炉と天公炉、そして後殿の中央の香炉の3つにまで減らされました。この時期についてははっきりとは覚えていませんが、確か2015年ごろのことだったと思います。

更に2017年6月には天公炉と後殿の香炉が封じられ、線香を挿すのは主炉一つだけとなりました。

私が昨年龍山寺を訪れたときには、天公炉と後殿の香炉は撤去されていました。

そして、昨3月2日、龍山寺はこれまで参拝客に行っていた無料の線香の提供をとりやめ、焼香を禁止することをアナウンスしました。

以心香代替燒香 艋舺龍山寺自3月13日起停止供香
2020-03-02
內容:為維護空氣品質及民眾健康,艋舺龍山寺自3月13日(農曆2月20日)起,停止供應香客免費香枝,遊客也請勿自行攜帶香枝前來。信眾參拜時,以雙手合十代替線香,虔誠祝禱,神明護佑,讓信仰永存、環境永續。另基於禮敬觀世音菩薩和法會的需求,本寺仍會保留觀音爐,由本寺管理人員每日點香,供信眾祈福。

艋舺龍山寺從最早的7座香爐、21柱香,逐步減為1香1爐,到現今的停止供香、禁止遊客燒香,除了響應環保,更是為了保障民眾健康,整個過程是經過逐年宣導與審慎評估的。今年農曆春節期間,本寺於除夕到正月初三曾停止供香四天,實施期間明顯感受空氣品質變好,香客並無因此減少,足見信眾對於減少汙染的祭拜環境,已逐漸認同。

凡事心誠則靈,祭拜時以心香代替燒香,一樣可表達對先賢及神明的敬意,不僅可以減少PM2.5對環境的危害,更可以維護民眾自身的健康。虔誠參拜的同時,不忘維護空氣品質,才能真正庇佑身心皆平安。
http://www.lungshan.org.tw/tw/04_activity2.php?p=86

訳します。

「心をもって焼香に替えましょう 艋舺龍山寺は3月13日より線香の提供を停止します

空気の質と民衆の健康を守るため、艋舺龍山寺は3月13日(農暦2月20日)より参拝客への無料線香の提供を取りやめます。参拝者のみなさんも線香を持ち込まないようにお願いします。信徒が参拝するときは手を合わせることを線香の替わりとして、敬虔な祈りによって神明のご加護を賜ることで信仰を永存させ、環境を永続させます。また、観世音菩薩への敬意と法会の要求により、本寺は観音炉を維持して管理人が毎日線香をあげ、信徒のために祈りを捧げます。

艋舺龍山寺はもともとは7つの香炉に21本の線香を捧げていました。それが1つの香炉に線香1本となり、そして今線香の提供をやめ、焼香を禁止にしました。これは環境保護のためだけではなく、みなさんの健康のためでもあり、これは年を経ることに慎重に相談して行われてきたことです。今年の春節の期間、龍山寺では大晦日から3日までの4日間焼香を停止しました。その期間、空気は明らかによくなり、そして参拝客は減ることはありませんでした。これは信徒のみなさんが空気汚染が減った参拝環境を受け入れていたものと見られます。

何事も心が誠であれば通じ、参拝では心を線香の替わりとするならば、それまでと同様先賢と神明に敬意を伝えることができます。PM2.5の危険を減らすだけではなく、信徒のみなさん自身の健康を守ることもできるのです。敬虔な参拝と同時に空気を守ることも忘れないでいればこそ心身の平安が救われるのです。」

龍山寺では無料線香の配布を行っていました。まずそれが廃止になります。また熱心な参拝者の中には自ら購入した線香を持参して焼香する人もいました。それも禁止になります。

ただし、前殿と正殿の間にある観音炉は撤去されず、龍山寺の管理人のみが焼香して祈りを捧げるとのこと。

現状では、台湾に無数にある廟のほとんどでいまだ焼香が行われています。これは伝統でしから仕方がないです。

とはいえ、龍山寺という台北では最も古いとされている寺院が、参拝客の焼香を完全に廃止したことで追随する寺廟も増えるのではないかと思われます。

古代インドで神々への祈りに生贄を捧げていたバラモン教が、神々へのバクティ=帰依を捧げるヒンドゥー教に変化したように、これからの台湾では焼香よりも心からの信仰が重視されるようになるでしょう。

ちなみに神仏の前では参拝を行います。日本人は参拝を「拝みに参る」ことだと思っていますが違います。参拝の参は壱・弐・参の参で、つまり参拝は三拝という意味です。

手を合わせ、三回頭を下げるのが正しい参拝の方法です。

龍山寺だけでなく他の寺廟へ行ったときも、正しく「参拝」してください。