蔡英文総統最多得票数で歴史的大勝

2020年1月11日に行われた台湾の総統選挙。その当日の朝、朝日新聞はこんな記事を掲載しました。

台湾混乱、世論調査に「組織的ウソ回答」 きょう総統選

 現地の主要メディアによる世論調査では昨年11月の時点で、蔡氏が4割前後で、2割前後の韓氏を引き離した。

 これに対して韓氏は「メディアは操作されている」と主張。支持者に「世論調査の電話がかかってきたら、全て『蔡英文』と答えよう」と呼びかけ、世論調査を攪乱(かくらん)する作戦に出た。

 それ以降、蔡氏の支持率は5割前後に伸び韓氏は2割を割るようになったが、調査の信頼性は揺らぎ、SNS上では「本当は蔡氏と韓氏の差はあまりない」などとする情報も流れる。

https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20200111-00000007-asahi-int

簡単にいえば、蔡総統有利と伝えるニュースは、韓国瑜側の情報操作に翻弄されており、実際には蔡総統の再選は危ういということを言いたい記事です。

この記事を読んで即、これはニュースではなく願望記事だということがわかりました。朝日新聞にとって、中国による文攻武嚇に毅然と対峙する蔡総統の再選は望ましくないものなのでしょう。

あるいは蔡総統不利という願望を掲載することで中国の顔色を伺ったのかもしれません。

さて、選挙から一夜明け、全ての得票数が公開されています。


https://news.campaign.yahoo.com.tw/2020election/open.php

蔡英文:817万231票 得票率57.13%

韓国瑜:552万2119票 得票率38.61%

宋楚瑜:60万8590票 得票率4.26%

統一派の票を割るという点で宋楚瑜はあいかわらずいい仕事をしています。しかし、仮に宋楚瑜が思い出出馬をしておらず、その票が全て韓国瑜に行っていたとしても蔡総統の勝利はゆるぎませんでした。

817万231票は、1996年の第1回民選総統選挙以来最多の得票数となります。

実は蔡、韓両氏は僅差などという事実はありませんでした。つまり朝日新聞が伝えたのはただのフェイクニュースです。

このように蔡総統の圧勝と終わった総統選でしたが、立法委員選挙に目を向けるとまた違う様相が見えてきます。

まず、日本の比例区に相当する不分區では、民進党13議席、国民党13議席と同数。

全体では、民進党が改選前の68議席から61議席に減少、国民党は35議席を38議席に伸ばしました。

総統は蔡氏を支持するものの、民進党への権力集中を嫌い、変なバランス感覚が生じて立法委員では国民党を選んでしまうという層が一定数いるといいます。

時代力量は3議席を維持。

柯文哲台北市長が率いる新政党・台湾民衆党は5議席を得る躍進を見せました。

2016年に設立された新政党・台灣基進も1議席を得ています。

無党派立委は5人。内訳は、

台北市第5選挙区:林昶佐

桃園市第6選挙区:趙正宇

屏東県第2選挙区:蘇震清

花蓮県:傅崐萁

山地原住民選挙区:高金素梅

林昶佐氏については説明不要。

趙正宇氏は、桃園の眷村出身で元軍人、元国民党。とはいえゴリゴリの統一派というわけではなく民進党とも協力関係にあり、蔡総統も選挙戦期間に趙氏の応援演説を行っています。あまり統独問題には関わらず、中間層として地元発展に尽くすというタイプのように見えます。

蘇震清氏は民進党の党員ですが、党内での候補者調整のため自分から引いて無党派で出馬したという人物。

傅崐萁氏は元国民党、元親民党議員。両岸経済交流協会の理事長を勤めたこともあるという人で、それだけでどういう立ち位置かわかります。花蓮はもともとはアミ族が多く住む地域であり、あまり漢人の移入は多くありませんでした。花蓮が発展しだしたのは日本時代になってからで、戦後はそこに中国人難民が多く移住。外省籍が多い地域となったため中国寄りの人物が強いのは仕方ないかもしれません。

高金素梅はタイヤル族を名乗っていますが、父親は中国人で、原住民の皮をかぶった中国人であることはみんな知っています。それでも当選するのは、戦後原住民が多く住む地域に中国人が入り込み通婚していったため中国人意識を埋め込まれた人が多いためで、これは現在チベットやウイグルでも行われている中国式の民族浄化と同じ手法です。

立法委員の議席で明確に本土派勢力と言えるのは、民進党の61議席、時代力量の3議席、台灣基進の1議席、林昶佐氏、蘇震清氏のそれぞれ1議席ずつ合わせて67議席。

立法委員の全議席数は113議席なのでかろうじて過半数を確保しています。

台湾民衆党は中間層をアピールしているものの、ここ数年の柯文哲市長の言動を見ていると中間よりも中国寄りではないかと思われます。

蔡英文総統これから4年間で成すべきことは、経済の立て直しにより中国依存を低減し、経済協力という名目のもとでの中国からの影響力を排除すること。そして、民進党の本来の目的である中華民国体制の破棄への道筋をつけることではないでしょうか。