デイリーポータルZというサイトに『台湾おにぎり「飯團」は日本のおにぎりとまったく違う』という記事が載ったので読んでみました。
こんなんで金とってライターだっつってんだから楽でいいよね。そもそもタイトルで飯糰の字間違ってるし。
台湾の飯糰はおにぎりではなく上海饭团が伝わったもの
まずこの記事では飯糰を台湾のおにぎりとしています。
確かに飯糰を日本語で表現するならおにぎりになるだろうし、台湾のコンビニでは日本式のおにぎりを飯糰という商品名で売っています。
でもこれ前提が間違っているんですよ。
日本のおにぎりと台湾の飯糰はまったく出どころが違います。
このライターは一応リサーチしたみたいです。
記事にはこんなことが書いてあります。
飯糰とはいったいなんなのか
横浜市歴史博物館『おにぎりの文化史』(河出書房新社)によると、稲作文化圏で、おにぎりを食べる伝統があるのは、モチ米文化圏である東北タイ、北タイ、ラオス、雲南地方だけだという。~中略~
また、比較的粘り気のあるコメを食べる中国や朝鮮半島では、冷たい食べ物を好まない傾向があるため、ご飯を握って固めて、冷えてからでも食べる……といった食べ方をしないため、おにぎりという食文化は発生しなかったらしい。
~中略~
韓国には、日本からつたわった太巻きから、キンパプという韓国料理が誕生しているが、この飯糰も、もしかしたら……という気になった。
どうも日本の太巻きがルーツの韓国の太巻きと同様、飯糰も日本のおにぎりもしくは太巻きからできたのではないかと結論づけたいらしい。
前提が間違ってるからこういう妄想にたどり着く。これじゃあ日本の太巻きのルーツこそ韓国の太巻きだと言い張ってる韓国人と程度は変わらない。
ちなみに台湾でも台湾アレンジされた太巻きが現在でも食べられています。もちろん台湾人はそれが日本にルーツがあることを知っています。台湾では太巻きもいなり寿司もひとまとめに「寿司」と呼び、当然のこと飯糰とは別物です。
この記事書いたライター、台湾で実際飯糰を食べてるんですよ。それでなんで「ご飯を握って固めて、冷えてからでも食べる……といった食べ方をしないため、おにぎりという食文化は発生しなかったらしい」という話になるのか。
飯糰はだいたい注文してからその場で作ってくれます。そして、だいたい温かいうちに食べます。日本のおにぎりのように携帯食として冷えてから食べるというものではありません。それを実際体験したはずなのに…
中国には「おにぎり」はない。でも、飯糰はあります。上海の粢饭团です。
画像引用元让上海人排了27年的粢饭团,5块钱管饱!
戦後台湾の食文化には、上海から入ったものも大きく影響を与えています。
小籠包、生煎包、煎餃なども、国民党敗残政府とともに台湾に逃れた上海人が台湾にもたらしたものです。
飯糰もまた、上海人が台湾に伝えて定着した食文化である可能性が非常に高い。
こちらは私が実際台湾で食べた飯糰です。
この日本のおにぎりとも太巻きとも似ても似つかないものが日本のおにぎりもしくは太巻きから派生したと妄想するより、上海の饭团がそのまま台湾で普及したと考えるほうがはるかに自然です。
飯糰はまずおにぎりではない。台湾おにぎりだなどというのは単に飯糰をわかりやすく説明するための便宜的なものに過ぎません。
その便宜的な説明を前提にして考えるから、明らかに直接的な元ネタにはたどり着かず、頭のおかしい妄想に行き着くわけです。
なんでこうどいつもこいつも素人の俺にダメ出しされる程度のものしか書けねえんだろうなあ。