台湾人が使う「QQ」の由来は台湾語

図書館に行ったら『台湾夜市を食べつくす!』(山田やすよ著/産業編集センター刊)っていう本があったのでぱらぱらと読んでみたんですよ。

2010年刊行の本に今更いちゃもんつけるのもなんだけど、いやいやひどかった。

こういう本は情報をリサーチする能力がないやつが書くなよと思うんですよね。

「QQ」は新造語ではない

本の中で台湾人がよく使う「QQ」について取り上げられていました。

「QQ」っていうのはものすごく幅の広い表現で、大雑把にはもちもちしてるとかぷりぷりしているとかキュッとした歯ごたえがあるみたいなものを指す言葉です。

で、著者は、日本人もいろんな英語を作り出してしまうけれど(和製英語のことか?)、台湾人の「QQ」のような味を表現する“欧文”は知らないとか書いているわけです。

つまり、この人これを新しく作られた言葉だと思っているんですね。

それはただの思いこみにすぎません。

「QQ」という表現の由来は台湾語にあります。

昭和6年発行の『台日新辞書』。

もちろんこれは当時のものではなく復刻版です。

警察協会が発行元なのは、当時最も台湾語学習の需要があったのが内地から派遣された巡査たちだったからです。

で、これで「キウ」を引いてみます。

「キウ 粘い(粘り気あるに言う)」となっています。これが「QQ」の語源です。

おそらく口語表現でこの言葉に対応する漢字はなかったのでしょう。

ただ、昭和の初頭の時点ですでに「キウ」という表現はあったし、もしかしたら重ねて「キウキウ」と言うこともあったかもしれません。相当に古い表現です。

それが現代まで伝わり、対応する漢字がなかったゆえにアルファベットのQを当て字にして「QQ」と表記されるようになったわけです。

アルファベット表記するから新しく作られた“欧文”だとか言っちゃうのは短絡的に過ぎるっていうか、別にこんなマニアックな辞書持ってなくてもちょっと調べればわかることなんですよ。

わざわざ『台日新辞書』を持ち出したのは単に説得力を高めるためでね。

まあ、『台湾夜市を食べつくす!』の著者は本の中で明らかに台湾語と中国語の区別もついてない感じなので、そこまで求めちゃいけないんだろうけど。

でも、そういうリサーチもしない適当な思い込みを、個人のブログで書くならともかく、本にして売ったらダメじゃん?

っていうか、台湾語と中国語の区別もついていないようなやつがしたり顔で台湾の本出しちゃダメじゃん?

金出して買う人に対して失礼だよね。買う方も同じレベルだからそこはいいんだろうか?

ついでに触れておくと、この本では生薬が入ったスープを漢方と呼んだり、「医食同源」という言葉が浮かんだとか書いたりしてます。

漢方薬っていうのは一定の処方で生薬を配合した薬です。生薬を入れたスープは別に「漢方」ではありません。この人に限らずこの区別がついていない日本人は多いっていうか大半の日本人は区別できるだけの知識もないんだろうけどな。

あと「医食同源」っていうのは日本人が作った言葉です。いかにも日本人が考えそうないい加減な言葉です。今ではまるで中国に昔からあったかのように使う中国人もいますけどね。

まあ「医食同源」を肯定的に使う人に対しては、こんな言葉がどれだけ間違っているか、とことん否定するだけの用意はありますよ。中国で中医学を学んだ鍼灸師として。

台湾を扱ったガイドブックや夜市やなんかを紹介する本はいっぱい出てますけど9割ダメね。

金を取る本を書くだけのプロと言えるのは、片倉佳史さん、真理さんご夫妻、平野久美子さん、一青妙さんとあと2~3人ぐらいですかね。私が読んだ台湾紹介系の本を書いている人の中では。後は素人のブログ以下。