228和平紀念日で考えるべきこと

今日2月28日は台湾では228和平紀念日です。228事件は一般教養のレベルなのでいちいち説明はしませんが、228事件が国民党という侵略者の本質があらわれている事件であることは間違いありません。

228事件は常識として知ってはいても、事件が勃発したその現場に行ったことはないという人はわりと多いのではないかと思います。

228事件のきっかけとなった場所は、寧夏路夜市の入り口でもある圓環のほど近く、南京西路の歩道上にあります。

ここには「二二八事件引爆地紀念牌」が設置されています。

地図はこれ。

寧夏路夜市だの古早味豆花だのに行く前にちょっと立ち寄って犠牲者を偲んでみてはどうでしょう?

大稻埕という土地

228事件が勃発した場所は古くは大稻埕という名称で呼ばれていました。

大稻埕はその横を流れる淡水河を利用した船運の集積地であり、集められた穀物をさらして乾燥する場所でした。

その後河岸の港が整備され、船運による商業の中心は、艋舺から大稻埕にうつることになります。そこから発展したのが迪化街です。

大稻埕の南側は特に茶業が盛んでした。

今でも大稻埕周辺の路地を歩いていると茶葉を大きな茶缶に入れて量り売りしている観光客など相手にしていないような茶の店がいくつかあり、朝陽茶葉公園という台湾茶をテーマにした公園もあります。

二二八事件引爆地の斜め向かいにある法主公廟は、鉄観音の名産地として知られる安渓出身の茶商・陳書楚氏が、安渓の茶業に携わる人達の間で信仰されていた法主公の分霊を受けて祀ったのが始まりです。

要するに、清朝統治時代から続く非常に古い商業地域でした。

台湾人と中国人は「同胞」ではなかった

小林よしのり氏の『台湾論』を読んだ程度で台湾のことをわかったつもりになっている連中は、日本の台湾統治は台湾人にとっても歓迎された非常に素晴らしいパラダイスだったかのような妄想を抱いていることが多いです。

しかし、実際のところ台湾総督府による台湾統治は、日本本土のために台湾を搾取する圧政で、国籍だけは日本人でっても、台湾人に参政権はなく、様々な面で差別されていました。

台湾総督府は寺廟整理という名目の宗教弾圧も行っています。

だから日本が負けて台湾から撤退し、中華民国の統治下に入った時、多くの台湾人は「同胞」による「光復」であると歓迎しました。

ところが、実際中華民国の統治下にはいると、台湾人は日本人による植民統治のほうがだいぶマシであったことを思い知ります。

何より日本の統治には差別はあっても安定と秩序があり、日本のために行われた経済発展は台湾人にも恩恵をもたらしてもいました。

それに対して、中華民国の統治は統べてはいても“治”などはなく、社会は不安定になり流入した中国人により秩序も失われました。

台湾人が中国人を「同胞」だと思っていたのはたんなる勘違いに過ぎません。

これは「漢人」意識によるところが多いです。

日本人の一部、そして台湾人の一部にも、台湾人と漢民族は遺伝的にはまったく違う人種だと言う人がいますが、これは意味がありません。

なぜなら、漢人意識の中では父系が漢人なら母系がどうでも子孫は全て漢人であるということになるからです。

漢人というのは概念であって、そこに遺伝うんぬんは関係ない。だから河洛系台湾人は中国人を“同じ”漢人の“同胞”だと意識していた、そこに陥穽があったことは間違いないと思います。

今も尾を引く中国化教育

228事件では、国民党によって多くの台湾人が殺害され、台湾人はそこで台湾人は台湾人であり、中国人ではないと気づきました。

しかし、侵略統治の手口では、国民党のほうが一枚上手でした。

228事件収束後、蒋介石は戒厳令を敷いて台湾人を徹底的に弾圧する白色テロを行い、同時に徹底した中国化教育を行いました。

台湾をわかったつもりになっているネトウヨのたぐいには、台湾の本省人は全て台湾人意識をもった独立志向で親日で、外省人は全て国民党支持の統一派で反日だという小学生でも考えないような幼稚で単純な二極化があると思っているような連中もいますが、現実世界はそんなに簡単にはできていません。

特に蒋介石存命中に洗脳教育を受けた世代には、自分を中国人だと認識している本省人もいます。

2016年に台北に住んでいたころ、非常に日本に親近感を持った本省人の年配男性に食事を御馳走になったことがあります。しかし、酒が入って饒舌になった彼の口からは「我們中國人」という言葉が出ました。年長者にごちそうになっている立場でそこを突っ込んで場を悪くするわけにはいかなかったので黙ってはいましたが、国民党の支持者にはこのように中国人意識を植え付けられた本省人も多数います。

彼等は特に反日ではないし、日本人への拒否感もなく、それどころか日本旅行を楽しんだりもする。しかし同時に、中国人意識も持っている。

史明先生が独立運動に際して重視したのが台湾民族意識だし、李登輝先生が提唱したのは、省籍や民族に関わらず台湾で暮らす人々はみな台湾人である「新台湾人」意識でした。

おそらく大部分の日本人が意識したことがないであろう「自分は何者であるか」という認識は、台湾では非常に重要なことです。

台湾のために今後重視されるべきこと

幸い李登輝先生や独立運動の先達たちの努力が若い世代に受け継がれ、自分は台湾人であって中国人ではないという意識をもつ「天然独」世代も形成されています。

その重要さを最も理解しているのはおそらく中共です。中共は中国に進出してきた台湾企業の職員の子弟、中国に留学した台湾人学生などに優遇策を施し、台湾と中国の「一体化」意識を植え込もうとしています。

そして実際、中国から台湾に帰国した若い台湾人が、中国のほうが様々な面で発展しており、台湾は落伍していると吹聴しています。

これはかつて、中国に抑留された日本兵に洗脳を施してから解放して帰国させたのと同じやり口です。洗脳された日本兵は帰国後「中国帰還者連絡会」を結成し(現在は解散)、日本の「戦争犯罪」を吹聴しました。

日本による植民統治、あるいは228事件や白色テロの結果形成された自覚的台湾人意識とは異なり、天然独の台湾人意識は天然であるだけに基盤が弱い。今後の課題は天然独の台湾意識をいかに強固にしていくかもテーマになるでしょう。

228和平紀念日に際しては、国民党が台湾人に対して何をしたかを再認識することも重要です。ただ、より重要なのは、台湾人が台湾人としていかに台湾を守っていくかという意識を形成していくことではないかと思います。