米軍艦艇が台湾海峡を通ったところで緊張は高まらない

米軍の太平洋艦隊は、2月25日にアメリカ海軍の艦艇2隻が台湾海峡を航行したと表明しました。

この件について、ロイターは

米軍艦2隻が台湾海峡航行、米中の緊張高まる恐れ と題した記事で

「米中間の緊張の高まりにつながる恐れがある。」

と報じています。

このアメリカ海軍の行動は、別にこれが初めてではなく、自由時報の報道によれば、過去8ヶ月の中で5度目ということですね。

今回台湾海峡を航行したのは、駆逐艦USS Stethemと補給艦USNS Cesar Chavez。

ロイターは「中国が怒りますぞー」的なご注進記事を書いていますが、とりあえず26日現在、中国は公式にはなんのアクションも起こしていません。

人民日報、新華社ともに、日本語版も中国語版もこの件について報じていません。

要するに、中国はこれを見て見ぬふりをしています。

それは当然のことで、これ、報じたり抗議したりすると中国にとって都合が悪いんですよ。

中国は台湾が中国の領土であるという妄想を堅持しています。その妄想につきあうならば、台湾海峡は中国の領海ということになります。

そこを、米軍艦艇が航行するためには、中国の許可が必要です。

他国の軍艦が許可なく領海を航行したらそれは領海侵犯です。当然中国には拿捕するなり撃沈するなりする権利があります。

しかし、実際には何もできませんでした。これまでの航行についてもなにもしていません。

これは、中国が自ら台湾海峡が領海ではないと証明したのに等しいです。

もちろん、何もしないのが正解ではあるんです。実際には中国の領海ではない台湾海峡で米艦艇を拿捕したり撃沈したりしたら、立場が悪くなるのは中国側です。

だから見て見ぬふりをしている。

緊張が高まるのは中南海だけでしょう。これが中国国民に知られたら、米軍の「領海侵犯」を指を加えて見逃した政府のほうに批判が集まります。だから報道もしないわけです。

米軍のやり方は頭いいですね。海軍の船を航行させるだけで、台湾海峡が中国の領海ではないという既成事実を重ねることができる。

仮に人民解放軍がなんか仕掛けたら戦端を開く口実になります。

人民解放軍の物量にはかなわないなんてことを言っているバカなやつもいるけど、それは中国内陸に侵攻した場合に限られる話で、戦場を中国沿岸に限定したら中国は米軍に手も足も出ないでしょう。

だいたい、仮に米中戦争が起きたとしても、中国は人民解放軍の戦力を米軍だけに集中するわけにはいかないんですよ。なんでかって言ったら、北京の戦力が薄くなったらそのスキを突いて別の軍区が攻めてくるかもしれないですから。

中国が外敵に対して一枚岩で対抗するなんて思ってるやつはもうちょっと中国の歴史を勉強したほうがいい。

それに、中南海が爆撃されるリスクも顧みずミサイル飛ばす度胸が習近平にあるとは思えません。

米軍はこういうのはもっとやればいいですよ。米中間の緊張が高まるどころか、むしろそのほうが台湾海峡の安定化に繋がります。