台湾独立派長老が蔡英文総統を挟んで対立か?

台湾では農暦で行われてきた伝統行事を新暦の日付で行うなどという頭悪いことはしないので、新暦の1月初頭に長期休暇をとるなどということもせず、1日はたしか休日になっていたけど2日からは普通に社会が動きます。

独立派四大長老が蔡英文総統の再就任を不支持

3日、総統府の顧問に相当する資政の吳澧培氏、及び元資政の彭明敏氏、長老教会の高俊明牧師、元中央研究院院長の李遠哲博士が連名で、蔡英文総統が2020年に行われる総統選へ出馬しないように要請する広告を自由時報に掲載しました。

吳澧培氏は銀行マン出身で、2000年の陳水扁政権成立の後ろ盾となった人物。あとの3人は台湾に興味があるなら知っていて当然の人物だけど、興味がなかったから知らないという人のために解説すると、彭明敏先生は戦時中東京帝大に入り、学徒出陣で駆り出されて長崎へ向かう船上で爆撃を受け、左腕を失いながらも戦後は台湾独立運動に挺身してきたという人。

高俊明牧師は、美麗島事件で国民党に捕縛されそうになった民進党創立者の施明徳氏の逃亡を手助けしたことで入獄させられ、民主化後は長老教会の総幹事となりました。同性婚、婚姻平等化反対の中心人物でもあります。

李遠哲博士は説明する必要ある?台湾人で唯一のノーベル賞受賞者で、2000年の総統選挙ではこの人が支持を表明したことで陳水扁総統が誕生したとも言われる大人物です。さすがに台湾に興味あるとか言っといて李遠哲博士を知らないなんて人は存在しないよね?ね?

4人とも日本時代の生まれ。吳澧培氏は不明だけれど他の3人は日本語ペラペラという部分でも共通しています。

そして、吳澧培氏は次の総統は中国の侵略に対抗しうる強い人物を求めるとしています。

蔡総統は、就任から後台湾経済を上向きにさせられなかったことで急速に支持を失い、昨年11月の統一地方選挙では民進党が大敗を喫しました。

それとともに、度重なる中国からの恫喝に対して弱腰と見られ、なおも「現状維持」路線を堅持していることから独立派への求心力も失いつつあります。

蔡英文総統の反応

これに対して蔡英文総統は、Facebookに

我知道有幾位老前輩寫信給我,不過這個時刻,向世界表達台灣人的心聲更重要。昨天我回應中國國家主席習近平的談話,已經翻譯成英文。請大家一起把以下圖片、文字分享給世界各地的朋友,讓更多人聽見台灣的聲音!

とコメントを記しています。ざっと訳すと「何人かの先輩がたがおたよりをくださったのは知っています。しかし今、世界に向けて台湾人の心の声を届けることのほうが重要です。昨日私は習近平中国国家主席の談話への答えを出し、英語にも訳しています。みなさんは以下の画像を世界の友だちにシェアし、更に多くの人に台湾人の心の声を聞かせてください」てな感じで、ということで画像もシェアします。


蔡英文台湾総統のFacebookより引用

習近平の談話っていうのは、台湾統一に武力行使も辞さずってあいかわらずのたわごとです。

それに対し、蔡英文総統は一国二制度の受け入れを拒否するコメントを出しました。

まあ台湾を釣るために施行された香港の一国二制度のありさまを見れば、中国支配下の民主政体の維持など信じられるはずがありません。

史明氏が蔡英文総統の支持を表明

この一連の動きに対して、同じく台湾独立運動の長老である史明氏は、Facebookに以下のコメントを寄せました。

史明口述 敏紅整理
台灣是咱出生、生活的所在
所以台灣人是台灣的主人
這次總統大選,蔡英文若没上,史明及四百年來的獨立運動就全般的被丢掉
ㄧ國二政府的原則,是中共欲奪取台灣的殖民政策
咱台灣獨立已達到99.9%,只剩下0.1%的最後的ㄧ戰
在最後ㄧ戰.咱必須
1.台灣要爭取一原則(台灣民族主義,打倒殖民统治)
2.是獨立原則,台灣人都得遵守
理想力及現實要成為台灣獨立的政策,解放政策
3.修養「做人」的道德,台灣人都提高「道德修養」
以上三條都是要給台灣人的修養
這次選舉都要支持蔡英文,若無,不只是蔡英文ㄧ人的失敗,更是史明及獨立運動的大失敗
這次選舉是「自由民族」社會主義為終極目標,不是共產獨裁
台灣選舉,台灣人都得参加
台灣獨立萬歲!
台灣前途萬歲!萬萬歲!!
堅持原則力實行行動萬歲!
這三條,台灣民眾都會理解,實行大眾大勝利才有前途進步
若使民族倒了,工農商學、資本家都倒
台灣人繼續四百年來的殖民地奴隸生活

Su Beng-史明粉絲頁より引用

史明先生は現在100歳。Facebookは御本人の運営ではなく、支持者によるものです。

これは重要なので全部訳します。

「台湾は我々が生まれ、生活するところだ。
だから台湾人は台湾の主人だ。
今回の総統選に蔡英文が出なければ、史明と400年来の独立運動は全て失われてしまう。
一国二制度は中共が台湾を奪うための植民政策だ。
我々の台湾独立はすでに99.9%達成されている。残り0.1%が最後の戦いだ。
最後の戦いで我々は必ず

1.台湾が台湾民族主義、植民統治の打倒の原則を勝ち取る

2.独立は原則であり、台湾人はみなそれを守らねばならない
理想が台湾独立政策、台湾解放政策を実現する。

3.人としての道徳を修養する。台湾人は皆道徳修養を高める

以上3つは台湾人に修めてほしい。

今回の選挙で蔡英文を支持しなければ、それは蔡英文一人の失敗ではなく、史明と独立運動の失敗である。

今回の選挙は「自由民族」社会主義を最終目標とする。共産党の独裁が目標ではない。

台湾の選挙には台湾人はみな参加すべきだ。

台湾独立万歳!
台湾の前途に万歳!万々歳!
原則の堅持と行動に万歳!

この3つは台湾の民衆なら理解できるはずだ。大衆が大勝利してこそ前途がある。
もし民族が倒れれば、工農商学資本家がみな倒れ、
台湾人は400年来の植民地奴隷生活を続けることになる。」

今回の選挙というのは次の選挙のことでしょう。

独立運動家の中で、もともと彭明敏先生や高俊明牧師は右派、史明先生は左派とされてきました。

しかし、彭明敏先生も史明先生も、台湾が中華民国支配下から独立しなければならないと主張している点ではまったく同じ。次回の総統選で、国民党候補に勝たせてはいけないというのもまた同じでしょう。

彭明敏先生の側はもっと強力に台湾独立建国を推進できる李登輝先生のようなより強い指導者を求めているのに対して、史明先生は蔡総統を排除することによる最悪の結果-統一派総統の誕生を避けたいということだと思います。

だが、独立派が蔡総統をはさんで対立するようなことになれば、結局国民党が漁夫の利を得ることになるでしょう。ここは両者歩み寄って、協力して難局を打破してほしいと期待します。