石門金剛宮4 C区七星橋からD区地獄めぐりまで

前回の「B区:2階に祀られる諸神」の続きです。金柳温の三府千歳の前から、案内に従い階段を右に降りていきます。

七星橋を渡って厄払い

階段を降りた先には七星橋があります。

詰め所のようなところがあって、渡辺直美さんの画像とともに100NT$でお参りのための道具と解説付きの案内が受けられると書いてありました。しかし誰もいなかったので一人で勝手に渡りました。

入り口のお神輿には中壇元帥が祀られています。

お神輿をくぐっていくとここにも四面仏=ブラフマー。

またお神輿があります。ここに祀られるのはおそらく天上聖母、玄天上帝、それと王爺のどなたか。

たぶんこの下をくぐっていくんだろうと思ったのでくぐって行きました。

くぐった先に七星橋が架かっています。

七星橋は主に除災、厄払いの機能を持つもので、他の廟でも稀に見ることがありますが、ここまでしっかり作られた七星橋は石門金剛宮でしか見たことがありません。多くは木造の簡易的なものです。

橋の天井にも神々が祀られています。こちらは関聖帝君、斉天大聖、福徳正神。

橋を渡りきった先には武財神趙公明。厄を払った後にあらためて財神から財運をいただくということでしょうか?

北斗七星と五行。

その先にいる神様は北極紫微大帝だと推測されますが不明です。

七星橋を出たところに祀られる婆姐娘娘。

道教で婆姐というと、安産の女神・註生娘娘を助けて妊娠から出産までの十二の段階を受け持つ十二婆姐という神様がいます。しかし一柱の婆姐娘娘という神様は初見。ただその横に血を受けるたらいなどがあることから、十二婆姐と同様出産を司る女神様ではないかと思います。

地府の地獄めぐり

その横からD区の地府と天堂めぐりに入ります。

まずは東嶽大帝が司る地府から。地府というのは地の下の死後の世界です。日本では地下の死後の世界=地獄という認識になっています。道教においては、地府は単なる死後の世界です。死者は一度地府に落ち、そこでまず審判を受けて天国に行くか地獄に行くかが決められます。地獄は地府の十殿閻羅がそれぞれ司ります。

ということで地獄めぐりをする前にまず東嶽大帝を拝します。東嶽大帝は地府を統括する神様です。

この人たちは地府の獄卒たち。

東嶽大帝の周囲に七爺八爺や陰陽公司などが配されています。彼らは本来都市の守り神である城隍の配下です。舌を出している七爺についても、よくわかっていない日本人がおもしろ半分で取り上げていることがあります。七爺=謝将軍は、生前親友の八爺=范将軍を事故で亡くし、それをはかなんで首吊り自殺をしました。そのため舌が出ています。そうした悲しいエピソードを知っていれば茶化す気にはなれません。

ではいよいよ地府に入ります。ここからは、十柱の裁判官・十殿閻羅の世界です。入り口にあるようにテーマは善悪を分けること。

まず第一殿秦廣王。五穀を惜しまず、両親に孝行せず、享楽的な飲食を行ってきた者は飢渇の刑を与えられます。

地府において十殿閻羅それぞれが下した刑を実行される場所が地獄です。

第二殿楚江王。

家屋への放火、五穀を燃やした者、不正な手段で利益を得たものは、熱した銅柱で焼かれます。いわゆる炮烙刑です。

法を知っていながらその法を犯した者、賄賂を受け取った者、不公平な審判を行ったものは体の五ヶ所を刺されます。

第三殿宋帝王。

淫らなことばかりうかがっているもの、物事の見方が歪んでいるもの、善良な民を騙し虐めた者は眼をえぐられ皮を剥がれます。

父母を罵った者、流言飛語で世間を動揺させた者、心根が悪劣な者は舌を割かれます。日本で嘘を言うと舌を抜かれるというのはここが元ネタだと思われます。

第四殿五官王。

エロい本を書いた者、財産を狙って命を害した者、泥棒は熱した油を手にかけられます。

私欲のために毒を売ったもの、巧みに言葉を操り人を騙したもの、ピンハネしたものは砕いた石に体を埋められます。

第五殿閻羅天子。日本で言う閻魔大王です。

財産をだましとり賭け事が好きなもの、良家(もしくは善良な?)の子女を娼婦にしたもの、真理を悟らぬものは心臓に穴を開けられます。

虚栄にすがるもの、うらみや邪心をもつもの、偏った心、私心をもつものは蛇に食われ犬に呑まれます。

第六殿卞城王。

狼のように獰猛な心でやり口がひどいもの、良民を滅ぼしたもの、恩を忘れ不義なものはすりつぶされます。

自分の利益のために人に損失を与えたもの、冷酷で情けがないもの、天地を呪い罵ったものは鉄の砂に跪かされます。

第七殿泰山王。

虎の威を借り人を欺いたもの、学生を陵辱したもの、師を毀損したものは吊るされてハラワタを引きずり出されます。

五倫(父子の親愛、君臣の義、夫婦の別、長幼の序、朋友の信)をわきまえないもの、姦婦淫婦、師や年長者をうやまわないものは頭に石を乗せられます。

第八殿都市王。

踊りあそびまわったもの、容色を売り物にしたもの、家を出ていったものは足を断たれます。

殺人放火をしたもの、賭場を開いて賭け金をだまし取ったもの、未払い賃金などを支払わないまま倒産したものは手をのこぎりでひかれます。

第九殿平等王。

人の魂を穢したもの、媚薬をつくったもの、エロ本を印刷したものは頭を割られ脳を削られます。

邪悪なおふだをもって人を害したもの、心が蛇蝎のごときもの、戒律を破った仏僧は肺を刀で穿たれます。

最後に第十殿轉輪王。轉輪王は地獄を持ちません。9番目までの地獄で刑を受けた罪人の転生先を決める役割を持ちます。

これは仏教の因果説によるもの。日本人は非常にいい加減な死生観を持っていて、誰かが死んで成仏したと言うと同時に誰々の生まれ変わりだなどと言って矛盾を一切感じません。しかし、仏教的な本当の意味での成仏をしたならば転生することはないし、本当の意味での成仏をしていないなら当然転生します。地獄で刑を受けたのは全て罪人です。ゆえに転生は人ではなく畜生道になります。

孟婆娘娘は轉輪王によって転生先が決まった魂を次の生の胎内に移す役割をもつ女神です。

最後に地蔵王菩薩。地蔵王菩薩は仏教の地蔵菩薩が民間信仰経由で道教に取り入れられた神です。十殿閻羅、東嶽大帝は地蔵王菩薩の統率下にあると考えられています。

ともあれこの地府の地獄めぐりが訴えたいことは、死後こういう目にあいたくなければ悪いことを学ぶなということです。

地府を抜けると2階の天堂エリアに入ります。

石門金剛宮5 D区:2階天堂エリアに続く。