スイス人の宣教師さん、念願かなって台湾籍に

台湾にキリスト教が伝わったのは17世紀のオランダによる台南占拠の時代です。とはいえその当時のオランダのプロテスタントがそのまま伝えられてきているのではなく、主に19世紀になってから広められたイギリスの長老派教会系プロテスタントが主流になっています。台湾長老教会は台湾で大きな力を持つキリスト教団体であり、かつ台湾独立を支持し続けていることでも知られています。

カトリックの宣教師が台湾人に

一方のカトリックも少数ながら信者を集めています。台湾ではカトリックは天主教と呼ばれれます。

林森北路と長安東路の交差点には、斜向かいに建つ長老教会と天主教の教会が見られます。

天主教の神父・雷震華さんは、56年前の1962年にスイスから伝教のため台湾を訪れました。まず新竹で中国語を学んだ後、花蓮北部の秀林郷に崇徳天主堂をかまえ、以来今日までカトリックの布教に努めてこられました。

秀林郷は原住民のタロコ族が住む集落です。雷震華さんは賛美歌をタロコ語に翻訳するなどしてきました。また、布教だけではなく原住民たちに貯蓄の観念を教えるなど、秀林郷の生活改善にも貢献があったといいます。

深く台湾に根を下ろした雷震華さんは、台湾人になりたいと願うようになりました。

そして先日、改正された国籍法にある「特殊な貢献があった外国人」規定にあたるということで、スイス国籍を放棄し、台湾(中華民国)国籍が与えられ、台湾への帰化しました。

雷震華神父は現在86歳。これからは台湾人として生きていくことになります。

キリスト教宣教師の貢献

雷震華さんは、タロコ族の人たちがわかりやすいようにと賛美歌をタロコ語に直しました。これが原住民の言語の保存にもつながったとして評価されています。

キリスト教宣教師による台湾の言語への貢献はこれだけではありません。

その最大の貢献は台湾語の「教会ローマ字」化です。これもやはり台湾人にキリスト教を布教するために考えられたもの。そのおかげで、今日外国人の我々も台湾語を学びやすくなっています。

実は日本統治時代に日本人も台湾語をカナ化しようと試みたことがあります。

こんなようなカタカナによる台湾語辞典も出版されました。私は復刻版を持っています。

ただ、これはどちらかというと警官など台湾に赴任してきた日本人のために考えられたもので、ぶっちゃけこれ役に立ちません。要するに英語や中国語をカタカナで表記しても正しい音を表せないというのと同じことで、二重母音、三重母音を持つ台湾語を発音バリエーションの貧弱な日本語で表記しようというのが無茶な話なんです。

教会ローマ字はカタカナとは違い台湾語の複雑な発音にも対応できます。台湾語の表音法としては注音記号を応用したものもあるけれど、やはり外国人にはローマ字のほうが学びやすいです。