蒋氏政権下で1270人が受けた有罪判決が破棄され、蔡英文総統が謝罪

2016年に発足した蔡英文政権のスローガンは「轉型正義」です。これは「Transitional Justice」を訳したもので、日本では「移行期正義」と訳されているようです。まずは中国語版wikiの説明を訳します。

轉型正義(英語:Transitional Justice)は民主国家が過去の独裁政府が行った違法、不正義行為に対する補償を行うものである。通常は司法、歴史、行政、憲法賠償などを含む。その根底は歴史の真相を正すことにある。簡単に言えば、政府が過去の政治思想の衝突、戦争犯罪によって引き起こされた国際法や人権に違反する行為を追究し、犯罪によって得られた財産、権利を取り戻すことを検討するものである。

wikipedia 轉型正義より一部訳出

要するに独裁政権による犯罪や人権侵害による被害を修復しようというもので、台湾においては228事件や白色テロなどといった蒋氏独裁政権による犯罪行為で被害にあった人を救済しようというものです。

蔡英文政府1270人の有罪判決を破棄

今月5日、台湾政府は蒋氏政権時代に内乱罪などの罪で有罪判決を受けた1270人の判決を正式に破棄したと発表。蔡英文総統は、当事者、その家族などに謝罪を行いました。

戦後、国民党占領下の台湾において台湾人の虐殺事件「228事件」が勃発。蒋介石はその後戒厳令を敷き、反政府分子をあぶり出しては投獄します。この戒厳令は1949年から1987年の38年にわたって施行されていました。

これら国民党による犯罪の見直し、謝罪などは、すでに李登輝総統時代から行われており、蔡英文政権になってから行われるようになったものではありません。また、今回判決破棄になった1270人についても、蒋氏政権終了後には刑は行われてはいませんし、名誉回復も行われています。

ただ、一度出た判決は、独裁政権時代のもとのはいえ覆すのが難しかったということで、今になってやっと破棄することができたわけです。

しかし、本来であればこの件について蔡総統は謝る筋合いはないんですよね。そもそも民進党は蒋氏独裁時代に台湾独立(中華民国体制からの独立)と民主化を求めた美麗島雑誌社が母体になっています。

先般の蔡総統の外遊に随行した陳菊総統府秘書長、呂秀蓮元副総統などは美麗島事件で逮捕された側。陳水扁元総統と謝長廷駐日代表は、美麗島への言論弾圧が行われた「美麗島事件」で弁護を行った弁護士です。民進党は本来被害者の側だったわけです。とはいえだからこそ過去の国民党の犯罪を究明し糾明するべき立場にあるとも言えるでしょう。

台湾国民の民進党への不満は、経済問題は置いておくとして、そうした経緯で生まれかつては台湾独立運動を推進したにもかかわらず、政権の座についてからは現状維持という消極姿勢になっている点についてです。台湾団結連盟はそうした不満を汲み上げることに失敗し衰退しました。

逆に、台湾主義であるために民進党には不満は持っているが、だからといって国民党支持などありえないという層、特に天然独世代からの支持を集めていっているのが時代力量です。