台湾紅茶の歴史と種類

台湾のお茶といえば烏龍茶というイメージがあるかもしれません。でも実際には台湾国内で烏龍茶を飲むのは年配の男性や一部のマニアという感じでした。若い世代でも烏龍茶が飲まれるようになったのはペットボトル飲料や50嵐などドリンクスタンドが普及してからだと思います。一方、台湾でも珍珠奶茶は言うにおよばず紅茶は人気の飲料の一つです。

しかし、台湾の紅茶は日本と同様殆どが輸入品です。台湾で最も生産量が多いお茶=ウーロン茶によると、台湾で生産されているお茶の95%は烏龍茶。この烏龍茶というのは包種茶や東方美人茶など半発酵茶のすべてをひっくるめた割合だと思われます。残り5%は緑茶と紅茶です。

台湾紅茶の生産は日本時代から

日本が台湾を領有して間もない1899年(資料によっては1896年)、三井グループの持株会社である三井合名会社は、台湾に茶園を確保して茶の製造、輸出を始めました。っていうか、台湾側の資料を見るとそうなっているけれど、三井合名会社ができたのは1909年なんですよね。おそらく最初は三井グループが農地を取得し、1909年になって三井合名会社がひきついだという形でしょう。

領有当初の台湾に期待されていたのは農業生産力です。お茶については清朝領有時代から西洋に向けて茶葉の輸出がされており、特に白毫烏龍茶は「オリエンタルビューティー」として好評を博していました。現在白毫烏龍茶が主に東方美人茶と呼ばれるのは西洋での呼び名が逆輸入されたためです。台湾総督府はそれを受け継ぐ形で烏龍茶を中心に「台湾茶」の名称で輸出を行っていました。

しかし、20世紀に入るとイギリスの植民地であるインドやスリランカでの紅茶生産力が向上し、欧州での紅茶市場を専有していくようになります。そのため、台湾茶は非常に苦戦するようになりました。状況を重く見た総督府は、生産する茶の種類を紅茶に切り替える方針を打ち出しました。

そこで、総督府中央研究所の、新井耕吉郎さんがインドよりアッサム種の茶樹を移植。アッサム種に適した生育場所として、一年を通して気温が安定し、湿度が高い日月潭周囲が選ばれ、海抜600mから800mのあたりに茶園が開かれました。それと同時に紅茶試験所を設立し、品種改良を行っており、この試験所は今日の台湾にも受け継がれています。

こうして作られた紅茶は「三井紅茶」として販売されました。この三井紅茶が後に日東紅茶になります。この改名の時期、理由については日東紅茶の公式サイトにも記載がありません。

敗戦によって日本政府は台湾の領有権を放棄。台湾は中華民国による統治下に入ります。これは本来連合国から委任を受けた委任統治でしたが、蒋介石は台湾を中華民国領土に組み込み、国共内戦に負けて台湾に逃亡、占領します。

蒋介石政府は戦後賠償を放棄して台湾総督府が築き上げた全ての資産を接収します。そのほうがはるかに儲けが大きいからでした。今では流石に見ませんが、以前は単に損得勘定で行われたこの戦後賠償放棄をもって蒋介石に感謝するというアホがいました。

三井が所有し、開発してきた茶園も当然接収され、公営企業の台湾茶業公司が引き継ぎました。とはいえ敗残兵がいきなり製茶業をできるようになるはずがないので、茶葉生産や品種改良などはそのまま台湾人が行っています。新井耕吉郎さんは自らの意思で台湾に残り、台湾の茶業に尽くしました。しかし、終戦翌年の1946年にマラリアでなくなっています。台湾茶業公司は後に民営化して台湾農林になっています。

1950年代には戦前からの品種改良や生産技術の向上が実を結び、輸出量が増大。台湾茶業が隆盛を極めたといいます。しかし、それもインドやスリランカとの価格競争に負け、1980年代になると衰退に向かい、1990年代に入ると輸出よりも国内用への生産が主になっていきました。

転機となったのが1999年の台湾中部大地震です。この地震では日月潭周辺も被害にあいました。その復興のための主要産業として紅茶生産が選ばれ、現在でも高級品種として評価が高い「紅玉」が生み出されました。日本でも人気が高い「蜜香紅茶」はいつごろ開発されたのか、いろいろ調べたけれどもわかりませんでした。

最近は日本でも「和紅茶」なる日本製の紅茶が作られるようになっています。台湾ではそれよりも前から、アッサム種と烏龍茶種をかけ合わせたり、烏龍茶種の茶葉で紅茶をつくるという試みが続けられてきています。

台湾紅茶の種類

・蜜香紅茶

蜜香紅茶は害虫であるウンカに噛まれた茶葉が原料の紅茶です。これは本来東方美人茶に使われる茶葉です。東方美人茶は発酵度90%という限りなく紅茶に近い半発酵茶。それを完全に発行させて紅茶にしたのが蜜香紅茶です。

これが蜜香紅茶の茶葉。やはり東方美人茶に似ています。茶葉を手にとって香りをかぐと、名前の通り甘い香りがします。

普通にティーポットで淹れてもいいけれど、少量ずつ淹れるなら蓋碗で淹れる方法もあります。

熱湯を注ぎ、蓋をして蒸らします。今回の蒸らし時間は1分。そこらへんはお好みで長くしたり短くしたりしてください。

ほんの少し蓋をずらして、茶葉をおさえながら注ぎます。

水色は琥珀色。ちなみにお茶の世界では「水色」は「すいしょく」と読み、淹れたお茶の色を指します。これを「みずいろ」と読んだ新田恵海さんは勉強するように。

東方美人茶の雰囲気もありながら、まったく違う個性のお茶になっています。ほんのり甘いので、この甘さを味わうために砂糖は加えないほうがいいでしょう。

新入荷! 【現地老舗茶園直仕入】台湾茶 お茶 青心蜜香紅茶 30g Qingxin superb black tea

価格:1,782円
(2018/9/17 10:49時点)
感想(1件)

・紅玉

日本時代に作られた紅茶試験所を受け継いだ、台湾茶業改良場魚池分場で開発された品種です。ミャンマーのアッサム種と台湾の野生種の交配で生まれた臺茶18號の商品名として紅玉と付けられています。この野生種というのがちょっと謎。中国からの移民が移植した茶樹が野生化したものなのか、それともそれ以前からあった本物の野生種なのかは不明です。

これが茶葉。蜜香紅茶とは違い、茶葉自体からはあまり香りはしません。

蜜香紅茶と同様蓋碗で淹れます。

水色がちょい薄めなのは、一煎目の水色を撮り忘れて二煎目撮ったから。一煎目は蜜香紅茶と同じ感じの色でした。

香りはほのかにメントールっぽいのが漂います。ちょっとイメージ悪くなるかもしれないけど、頭に浮かんだのはサロンパス。

味はストレートティーなのにミントっぽい成分を感じます。好き嫌いが分かれる味だと思いますね。私個人の好みで言えば蜜香紅茶のほうが好きです。

台湾茶 紅玉紅茶(台茶18号)20g【ポスト投函のヤマトDM便で送料無料】 烏龍茶 茶葉 お茶 お土産

価格:950円
(2018/9/17 10:51時点)
感想(0件)

・台湾アッサム

台湾産の阿薩姆(アッサム)として売られてたやつ。たぶんちゃんと台湾産。

こちらはいかにも“紅茶”な水色です。ふだんがぶ飲み用に使っていて、長く蒸らしても渋みが少なく、濃厚な味。ストレートでもミルクティーでもおいしいです。

ただ、さすがに高級茶二種類を試した後だとその差は歴然としていますね。でも普段使いにはいいお茶だと思います。

インドやスリランカと比べると圧倒的に生産量は少ないとはいえ、味の面ではひけをとらない台湾の紅茶にも目を向けてほしいです。