産経新聞、陳水扁元総統にゲリラ的取材を行い陳元総統の立場を悪くする

昨日産経新聞は「南部・高雄市内で産経新聞の単独インタビューに応じ」「メディアのインタビューに応じたのは約10年ぶり。」などとして陳水扁元総統のインタビュー記事を掲載しました。

この記事の中で、陳元総統は、蔡英文総統の現状維持路線を限界があるとした上で、住民投票を推進し、国際社会に理解される努力をすべきであるという現在の考えを示したとされています。

陳水扁元総統は、2008年に退任後機密費流用、マネーロンダリング、収賄事件などの疑いで逮捕され、有罪判決を受けて懲役刑についていたものの、2015年からは健康状態の悪化により仮釈放されて自宅療養中でした。

この事件については陳元総統自身は政治弾圧だと主張。真相は不明ながらも陳元総統は無実であるとして支持し続けている人もいます。そんな中で現在の陳元総統の考え方が公になったのは貴重です。

産経はインタビューを禁じられている人の「単独インタビュー」を自慢げに掲載

しかし、この仮釈放には政治活動をしない、インタビューを受けない、政治の話をしないという条件がつけられていました。

この記事は「インタビュー」としておきながら、実際には産経の記者が在日台湾人団体とともに陳元総統の自宅を訪れ、陳元総統の「私的な意見」を「インタビュー記事」にしたというものだとのこと。記事にしていいかどうかの許可を陳元総統から得ていたかどうかは不明です。状況から見ておそらくは許可を得ていないでしょう。

総統府の法務部はそうした事情に鑑み、これは懇談会の形で行われたもので、陳元総統が「公的なインタビュー」を受けたわけではないとし、判断を台中監獄に委ねました。

これを受けて台中監獄の李進國副典獄は、今回は処分をしないとしながらも、陳元総統は2015年に定められた「メディアのインタビューを受けない」「政治に及ぶ話をしない」といった制限を遵守すべきであり、もし今後重大な違反があった場合は病状の改善が見られなくとも仮釈放を取り消す申請をするとしています。

要するにこれは産経の記者がゲリラ的に行った取材を功名心に焦って「単独インタビュー」などとしたということであり、結果的に陳元総統に不利益となり立場を悪くする方向に働きました。こういう恩を仇で返すようなやりようは許されるべきではなく、産経新聞は陳元総統に対して謝罪すべきでしょう。