台湾の英語公用語化は、公用語の中国語から英語への切り替えという意味ではない

台湾は英語教育に力を入れていて、特に今の30代以下ぐらいの人だったら英語が通じる率が高いです。まあ私は英語できないから中国語で話すわけですが。

きちんと情報を理解していない日本人が多すぎる

頼清徳行政院長が、2019年から英語“も”公用語にすると発表したというニュースが流れて、それに関する日本人のコメントを拾っているサイトをたまたま見ました。それで、日本人はほんと台湾に関して情弱ばっかだなという感想を持ちました。

まず、公用語は英語オンリーになるわけではありません。現在の公用語である中国語に加えて英語も公用語になるということです。来年から突然公用語が英語オンリーになるわけないでしょ常識で考えて。国民党が台湾を占領し、中国語(北京官話=マンダリン)を公用語としてからかれこれ70年です。その是非はおくとして多言語社会の台湾で現在共通語と言えるのは中国語だけです。

じゃあ共通語を台湾語(台湾閩南語・ホーロー語)にすればいいかといえばそんな簡単な話ではない。確かに台湾語スピーカーは台湾のマジョリティーではあるけれど、客家語を話す客家人もいれば民族ごとの言語を持つ原住民もいる。台湾の若い世代は、おじいちゃんおばあちゃんが話す台湾語を聞き取れはするけど話せない場合もあります。特に原住民の中には、中国語を押し付けられたあとに台湾語まで押し付けられたらたまらないという意識を持つ人もいます。

そこで新たな公用語として英語も設定するのはいいとして、中国語を排除してしまえという短絡的な話ではないんですよこれは。

あと、このニュースを見て台湾の独立が近いとか言っている意見もありました。つまりこいつは台湾は中国に属していると思っているわけです。台湾支持とかいいながら台湾のことをまったく理解していないような日本人はほんとうにたくさんいます。今属していない国から独立する必要はない。台湾独立とは中華民国支配下から独立して、台湾国を建国するという意味です。そこをわかっていないから「中国からの独立」などというアホな言葉が出てくる。

中国の領土ではない台湾にとって、中国は「本土」ではないのに、台湾に対して「中国本土」という対比を持ち出す日本人はいまだ多い。台湾の現状を理解していればそれがおかしいことはすぐわかるはずです。

台湾は中華人民共和国に属さない独立国であり、現状中華民国という滅んだ国の憲法に支配されており、台湾独立派は中華民国支配下から独立した建国を目指しており、現行の公用語は中国語であり、来年からは英語も公用語に加わる。これが台湾に関する最低限の情報です。