台湾人は占いに対して真摯で真剣

日本の女性は占いが好きだといいます。しかしよくよく聞くとだいたいは「いいことだけ信じる」とか言うんですよね。つまり占いが好きなんじゃなくて自分に都合がいいことを聞きたいだけなんだよなそんなもん。

2種類の占い

台湾人は占いに対してもっと真摯です。そもそも占いというのは自らの行先を示してもらうというものなので、よい占いが出れば謝して安心し、悪い占い占いが出れば謝して自重すべきものです。

台湾では占いは大雑把にわけて2種類あります。1つは占い店で占い師に占ってもらうもの、もう1つは廟で神様におうかがいをたてるものです。

私は台北で何度か占いを受けたことがあります。日本人向けに日本語で占ってくれるという占い師はだいたい「いいことだけ信じる」という日本人のナメた態度に合わせていい事ばっかり言う営業用占いをするのでダメだから、日本語ができないガチで占ってくれる先生にお願いします。内容はだいたい仕事に関することです。

中国語オンリーの占いを受けるとわかりますが、ちゃんとした占いはいいことも悪いことも遠慮なく言ってくれるし、どうやって進めばいいかというカウンセリング的なこともしてくれます。こういうのはそういう道を示してもらうことで、自分の現状を冷静に客観的に見直すきっかけにもなります。日本人が占いに求める「当たる」「当たらない」などは占いの本質ではありません。

廟のおみくじ「擲筊」

廟での占いは「擲筊」といいます。いわゆる「おみくじ」です。しかし、日本で行われているような、箱から適当に札だして紙もらって悪い結果だったら結んでなかったことにするといういいかげんなものではなく、もっと真剣です。

占いを求める人はまず神前で姓名、年齢、住所とどんなことを占ってほしいかを具体的に告げます。例えば「仕事はうまくいきますか」という大雑把なものだったり「仕事をうまくいかせてください」という要求ではなく「仕事を軌道に乗せるためにはどうすればいいですか?」というような感じの質問を行います。

そしてどんな廟にも置いてある「筊」という1対の道具を地面に投げます。筊は平らなほうが陽、カーブしている方が陰です。片方が陽、片方が陰になると「聖筊」といい、神様が占うことを承諾したということです。

二つとも平らなほうが出た場合は「笑筊」。これは神様がその質問を笑っているということ。状況がよくわかんないので「おまえ何言ってるの?」と笑っている状態です。

二つとも陰の側が出た場合は「怒筊」です。これは質問に対して神様が怒っておられます。

「笑筊」「怒筊」どちらになっても、もう一度よく説明し、お願いをしてからまた筊を投げます。それでも聖筊が出なかったらその日は諦めて別の日にお願いするか、別の廟に行きます。一度にこの擲筊をできるのは3度までと言われていますが、私はもっとたくさん投げている人を見たこともあります。

聖筊が出たら聖籤を引きます。

聖籤には番号が書いてあるので神様に番号を告げてこの番号でよいかまた筊を投げます。聖筊が出たらその番号の箱からおみくじの紙をいただきます。龍山寺や行天宮のような大きな廟だとおみくじの結果を解説してくれる人がいます。

聖筊が出なかったらまた3度までを投げ、出なかったら諦めます。

昨年台湾で人気になったドラマ『通靈少女』は、新北市汐留の濟德宮という媽祖廟が舞台になっています。制作スタッフは台北を中心とした廟にかけあってロケ地にしてもらえるように依頼したものの断られ続け、やっと濟德宮が受諾してくれました。ただし、それには天上聖母にお伺いをたて、お許しが出てからという条件がつきました。そのお伺いにも擲筊が使われています。

ところが、監督とスタッフが何度お願いしても聖筊は出ませんでした。そこで主人公のモデルの劉柏君さんにお願いし、再びお願いをしたところ、やっとお許しが出たそうです。

この劉柏君さんはガチの霊媒で、天上聖母に番組の趣旨をしっかり説明してお許しをいただいたとか。劉さんは元霊媒であり、その後イスラームに帰依してムスリムになり、台湾はじめてのプロ野球の女性審判であり、作家でもあるという正直よくわからん人物です。ムスリムが天上聖母と通じ合ったりするのはいいんでしょうか?

ともあれ台湾では擲筊っていうのは観光客がお手軽にやるようなものじゃないので私はやりません。

扶乩(扶鸞)と童乩(乩童)

台湾の廟で行われる占いには他に扶乩(扶鸞)と童乩(乩童)があります。これはどちらもシャーマニズム的な占いで、扶乩は神意を受けた術者が砂の上に専用の木の道具で詩を書いていくもの。木の道具は西王母のペットの鸞が神界から神意を届けてとまるためのものです。童乩は術者自身が神様を体に降ろすというものです。このへんについては伝統文化なので私自身の評は加えません。

これは専門の修行をつんだ道士が行う占いなので日本人が目にする機会はあまりないでしょう。

いずれにせよ台湾では占いは「いいことだけ信じる」などといういいかげんな扱いをしていいものではないですね。