台湾で一番うまい野菜は地瓜葉でしょ

台湾に行って食堂とか入るとたまに他の日本人を見かけることがあります。で、いつも疑問に思うのが、なんでこの人たち主食ばっか頼むんだろうってことです。例えば魯肉飯と麺類とか。いや別にその人らの自由だからご勝手にとは思うんだけど、他にもっとサイドメニューとか頼めばいいのにって思うんですよね。

台湾の魯肉飯がなんでご飯茶碗サイズなのかっていうと、他にスープとかおかずとかを頼んで食べるからです。

↑これは台湾ではめずらしくセットメニューになってたやつですが、こんな感じで主食+おかず+スープというのが一般的な食べ方ですね。これに小菜とかも入れたらほんとにいろんな味を楽しめてもと台湾の食文化の深さに触れられるのにもったいないです。

地瓜葉こそ台湾の味

蔡徳本さんという日本語世代の台湾人が書いた『台湾のいもっ子』という本があります。この本は、戦後台湾を占領した国民党による台湾人弾圧・白色テロを描いたものです。冒頭にこうあります。

 台湾人はみずからを蕃薯仔(いもっ子)と呼びます。台湾の地形が芋に似ているからです。戦後、中国大陸から蒋介石といっしょにやって来て台湾を統治した外省人もまた、台湾人をいもっ子といって差別しました。
 芋は昔から、米と並んで台湾の主要農産物でしたが、貧乏人は米が食べられず、芋の切り干しばかり食べてきました。

もう絶版になっているけどAmazonで中古を入手できるので本当に台湾に興味がある人は読んでみてください。

蕃薯はサツマイモのことです。今では地瓜と呼ぶほうが多いと思います。地瓜と台湾の食文化は切っても切れないものがあります。屋台料理の定番蚵仔煎の生地は地瓜のデンプンを乾燥させた地瓜粉です。寒い時期になると日本の石焼きとは違う窯焼きの芋が街角で売られているし、コンビニでも焼き芋を売っています。朝のお粥屋さんには芋粥が置いてあります。また、地瓜球や蜜汁地瓜というお菓子もあります。

台湾の地瓜はホクホクというよりはねっとりとした食感で色は黄色が強く、甘みはほどよく、本当においしいのですよ。

それはそれとして、食堂のサイドメニューの定番としては「燙青菜」というのがあります。これは茹でた青菜にたれをかけただけのもの。野菜ほしいなっていうときはこれを頼みます。燙青菜に使われる青菜は季節によってもお店によっても変わります。よく見るのは空心菜、レタスの一種の大陸妹やA菜、キャベツ、そして地瓜葉つまりサツマイモの葉っぱです。

これが地瓜葉の燙青菜。つるから伸びている葉っぱの部分を食べるのだと思います。ちょっと粘りを感じる歯ごたえで、独特の風味があり、くせがなくて食べやすいです。私はサツマイモを作るときに伸びたものを利用しているのだと思っていました。ところがあるとき、台湾の人にこれは食用の葉っぱを芋とは別に栽培しているのだと教えてもらいびっくりしました。

たれは店によっていろいろ違います。小道迷子さんの『台湾素食』というマンガに、最近の台湾人は地瓜葉を粗末なものだと思っているのであまり食べないというようなことが書いてありましたが、私が行くような庶民的な食堂にはだいたい置いてあったのでお高いところをご愛用されている人は違うんだなと思います。

空心菜もうまいけど、やっぱり地瓜葉の味は格別です。お店によっては燙青菜に使う青菜を選べるので、地瓜葉があったら絶対に選びます。

地瓜葉は年がら年中あるわけではなく、だいたい春から夏にかけてぐらいが季節だと思います。ちなみに↑これの隣にあるのは羊肉羹。つまり本物の「羊羹」です。

日本でサツマイモ畑の横を通ると、この葉っぱ分けてくれないかなと思います。ところが、日本で育てたサツマイモの葉っぱはアクが強くて苦いそうなのですね。近年の猛暑による夏場の野菜不足にこのサツマイモの葉っぱを利用できないかと考えた農林水産省は、九州の研究センターで6年もかけて食用に適した「すいおう」というサツマイモの葉っぱを開発しました。台湾の地瓜葉を利用したらもっと期間を短くできたのかもしれないのに。

ところが現在では主に乾燥して粉にしたものをお茶とかパンとかの材料として利用しているそうです。何してくれてんだコノヤロー。ただ、生のやつも少しずつ販売されるようになってきているとかで、もっと生産者が増えて気軽に買えるようになると、日本でも地瓜葉の燙青菜を再現できるのになと思います。