台湾の民族

台湾は日本の九州ほどの大きさの本島と、幾つかの島嶼で成り立つ島国です。公式の国交がない台湾が日本に置いている大使館に準ずる機関台北駐日経済文化代表処によれば、2017年4月現在での台湾の人口は約2355万人。これは九州7県の総人口約1310万人を大きく上回ります。

台湾は多民族国家

人口約2355万人の内訳は、95%が福建からの移民であるホーロー系、広東などからの移民である客家系を中心とした漢民族、2%がマレー・ポリネシア系の原住民、2%がインドネシアなど東南アジア諸国や中国からの新移民となっています。

ただ、このエスニックグループのパーセンテージと分類は、現在台湾を支配する中華民国政府の見解であり、95%の「漢民族」の80%以上は戦前から台湾に住んでいた漢民族と平地原住民の混血の子孫です。漢民族の伝統では父系が漢民族であれば母系がどうであれその子孫を漢民族とみなします。しかし、実際のところ1600年代から1900年代までの数百年に渡って中国から移民し、原住民と交雑していった人々と、戦後国民党の敗走とともに台湾に逃げ込んだ敗残兵とはまったく違う民族であったと言っていいでしょう。

いわゆる「漢民族」系の人々のうち、戦前から台湾に住んでいて本籍が台湾にあった側を「本省人」、本籍が中国にあった側を「外省人」と呼ぶ場合もあります。ただし、この分け方は台湾を占領支配した中華民国が台湾を「台湾省」とし、台湾を「本省」、台湾以外を「外省」とわけたことによりできたものなので、台湾に帰属意識を持つ人は中華民国の支配を前提とした「本省人」という呼び方をされるのも嫌うということも覚えておくべきでしょう。

また、いわゆる本省人と外省人の混血も進んだ現在、こうした分け方はあってなきようなものであり、本省人と外省人という旧弊な認識で現在の台湾を理解することは不可能です。また、帰属意識にしてもいわゆる本省人の系統でも蒋家独裁時代の教育を受けた世代には自らを「中国人」と任ずる人がいれば、逆に外省人の系統でも自らの帰属を中国ではなく台湾に置き、自らを「台湾人」だと認識する人もいるので、そうした意味でも本省人と外省人という短絡的な分け方をする意味はありません。

台湾は「漢民族の国」ではない

原住民は中国からの移民が始まる以前から住んでいたマレーポリネシア系の民族群であり、2018年現在16族が認められています。ただし、鳥居龍蔵による9族の分類が正しいという意見もあるようです。なお「原住民」は日本ではなぜか差別的な言葉ということになっていますが、中国語では「元からの住民」という意味で、原住民自らが「我々こそが台湾に元から住んでいた民族である」というプライドをもって選んだ呼称です。当然そこに原住民を差別する意図はないので、日本でも台湾原住民と呼ぶべきでしょう。

西暦2000年を過ぎてから増え始めたのが、台湾・中国両国間の経済交流などの活発化にともなって流入するようになった中国人の移民、高速鉄道建設や介護需要の増加などで流入するようになった東南アジア各国からの移民です。特にインドネシアからの移民は多く、台北市内ではインドネシア系と思われる人を見ない日はありません。

また、全体の中ではかなり低い割合とはいいながらも、日本人移民も存在します。

台湾は非常に多くの民族が同居し、影響を与えあいながら流動的かつ多様な文化を形成する多民族国家です。